フェルクリンゲン製鉄所
フェルクリンゲン製鉄所は、ドイツ西部、フランスとの国境に近いザールラント州のザール川に面したフェルクリンゲン近郊に作られた1紀を超える歴史を持つ製鉄所からなる世界遺産です。
1873年から始まるフェルクリンゲン製鉄所の繁栄は多くの労働者の血と涙によってもたらされたもの。第二次世界大戦中には約7万人もの強制労働者や戦争捕虜が鉄鉱石採掘や製鉄など労働を強いられ、戦争末期には14,000人のロシア、ポーランド、ユーゴスラヴィア、フランス、ベルギー、ルクセンブルクなどから連行された男女が極めて過酷な条件下での労働を強いられたのです。
戦後のヨーロッパ復興の過程で奇跡的に無傷で残されたこの製鉄所は現在閉鎖され、19世紀から20世紀にかけての製鉄精錬の全工程を追体験できるテーマパークとして公開された文化の拠点となるもの。
20世紀初期における産業技術の粋ともいえる大型機械を備えるブロワーホールや巨大な高炉6基が聳える製銑エリア、世界でも類を見ない斜行昇降機や30メートル近い高さがある炉口などの工場施設が当時のまま残されており、元従業員によるガイドツアーなどが人気を集めています。