ビスカヤ橋はスペイン北部のビスケー湾に面した港湾都市ビルバオの河口付近にあり、ポルトゥガレテ地区とゲチョ地区を結ぶネルビオン川に架かっている、世界最古の運搬橋からなる世界遺産です。地元では単に「吊り橋」とか、「運搬橋」とも呼ばれるビスカヤ橋の長さは164mで、水面からの高さは45m。
エッフェル塔の建築で知られるギュスターヴ・エッフェルの弟子の一人である建築家のアルベルト・パラシオによって設計されたこの橋は、吊り下げられたゴンドラで人や車を運搬する形式の運搬橋であり、ビルバオに向かう海上交通を妨げることがないという交通上のメリットと、長い傾斜路をもつ巨大な橋を造らずにすむという建築上のメリットの2つを叶える解決策として考案され、後にヨーロッパやアメリカ、アフリカなどの運搬橋のモデルとなりました。
スペイン内戦時には上部構造が爆破され、4年間通行不能になったことがありましたが、現存する最古の運搬橋として、今日も多くの人々や物資を運ぶ役に立っている、人類の英知の終結した世界遺産です。