| 名称 | 16~17世紀におけるヴェネツィア共和国防衛施設群:スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マール |
|---|---|
| 国 |
イタリア クロアチア モンテネグロ |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
「16~17世紀におけるヴェネツィア共和国防衛施設群:スタート・ダ・テッラと西スタート・ダ・マール」は、2017年ポーランド・クラクフで開催された第41回世界遺産委員会において、イタリア・クロアチア・モンテネグロの3か国が共同で推薦し登録された世界文化遺産です。
本遺産は、16~17世紀にヴェネツィア共和国が外海からの侵略に備え建設した城壁、城塞、地下トンネルなどの軍事防衛施設となっています。登録範囲は、約1000km以上。イタリア・ロンバルディア州からアドリア海沿岸までの広範囲に点在しています。
1か所の城や都市ではなく、ヴェネツィア共和国が広大な領域に築いた「防衛ネットワーク」そのものが世界遺産になっている点が特徴です。
当初は15の構成要素が世界遺産に推薦され、その中には、すでに世界遺産として登録されていた「ヴェネツィアとその潟(イタリア)」「スタリー・グラード平原(クロアチア)」「シベニクの聖ヤコブ大聖堂(クロアチア)」「コトルの自然と文化歴史地域(モンテネグロ)」に含まれる9つの構成要素もありました。最終的には、15構成要素のうち6つが現在の世界遺産の構成資産として登録されています。
ヴェネツィア共和国防衛施設群
この防衛網は、大きく「スタート・ダ・テッラ」と「スタート・ダ・マール」に分けられます。前者はヴェネツィア本国の北西側をヨーロッパの他国から守る陸上の防衛線、後者はアドリア海の航路や港を守る海上の防衛線でした。
ベルガモの要塞都市(イタリア)

- 国:イタリア
- 防衛のタイプ:山・丘の上の都市
- 特徴:既存都市を大規模に要塞化
丘の上に築かれた都市を城壁や堡塁で囲んだ防衛施設です。
ペスキエーラ・デル・ガルダの要塞都市(イタリア)

- 国:イタリア
- 防衛のタイプ:湖・川沿いの都市
- 特徴:水を天然の防御線として利用
ガルダ湖畔の重要な交通拠点を守る要塞都市です。
パルマノーヴァの城塞都市(イタリア)

- 国:イタリア
- 防衛のタイプ:計画要塞都市
- 特徴:星形・新設の軍事都市
星形の城塞で知られ、都市全体が計画的な要塞として設計されています。
ザダルの防衛システム(クロアチア)

- 国:クロアチア
- 防衛のタイプ:海沿いの都市
- 特徴:港と都市を一体的に防衛
アドリア海沿岸の都市を守るために整備された防衛施設です。
シベニクの聖ニコラ要塞(クロアチア)

- 国:クロアチア
- 防衛のタイプ:海上要塞
- 特徴:港への海上ルートを防衛
シベニク沖の海上に築かれた要塞で、港への海上からの侵入を防ぎました。
コトルの要塞都市(モンテネグロ)

- 国:モンテネグロ
- 防衛のタイプ:山+海の都市
- 特徴:山腹まで城壁を延ばして防衛
山と海に囲まれたコトルを城壁や堡塁によって守る大規模な防衛施設です。
これらに共通するのが、「アッラ・モデルナ」と呼ばれる近代的な要塞方式です。16世紀になると火薬と大砲が戦争で重要な役割を果たすようになり、中世の高く垂直な城壁は砲撃に弱くなりました。そこで、城壁を低く厚くし、角から外側へ突き出す稜堡(りょうほ)を設けて、敵を側面から攻撃できる構造が発達します。ヴェネツィア共和国はこの新しい軍事技術を取り入れ、陸と海の広い範囲に防衛施設を整備しました。世界遺産として評価されているのは、個々の要塞の美しさだけではなく、こうした新しい戦争に対応した軍事技術と、それを広大な領域で運用した防衛システムを現在に伝えていることです。