| 名称 | ロンドン塔 |
|---|---|
| 国 |
イギリス |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
ロンドン塔
「ロンドン塔」は、イギリスの首都ロンドンを流れるテムズ川沿いに築かれた、イングランドの王権と歴史を象徴する城塞です。正式には「国王(女王)陛下のロンドン塔の宮殿および要塞(His (her) Majesty’s Royal Palace and Fortress of the Tower of London)」と呼ばれ、1066年のノルマン征服後にウィリアム1世(征服王)が建設を始めました。
現在のロンドン塔の中心となる「ホワイト・タワー」は、11世紀末に完成したイングランド初期の大規模な石造城塞建築です。その後、12~13世紀にヘンリー2世やリチャード1世、ヘンリー3世、エドワード1世らによって城壁や塔が拡張され、現在見られる巨大な要塞へと発展しました。
約900年にわたって王宮、要塞、牢獄、処刑場、武器庫、宝物庫など多様な役割を担ってきたこと、そして中世ヨーロッパの王宮要塞を代表する建築として後世の城塞建築に大きな影響を与えたことが評価されています。世界遺産の登録範囲は7.73haで、東京ドーム約1.7個分にあたります。
ウィリアム征服王が築いた「王の要塞」




ロンドン塔の歴史は、1066年のノルマン征服と深く結びついています。フランス北部のノルマンディー公ウィリアムがイングランドを征服してウィリアム1世となると、新しい支配者はロンドンを支配するための拠点としてテムズ川沿いに城を築きました。
その中心となったのが現在も残る「ホワイト・タワー」です。高さ約27m、四隅に塔を持つ巨大な石造建築で、当時のロンドンでは周囲を圧倒するほど大きな建物でした。白く塗られたことから「ホワイト・タワー」と呼ばれるようになったとされています。現在のロンドン塔を構成する建物のなかでも最古の部分で、約1,000年前のノルマン王朝の建築を現在まで見ることができます。
その後、ロンドン塔は何度も拡張されました。特に13世紀のヘンリー3世とエドワード1世の時代には大規模な改築が行われ、二重の城壁や多数の塔が整備されました。テムズ川側には水門「トレイターズ・ゲート(裏切り者の門)」も設けられ、城塞としての防御力が高められました。現在のロンドン塔の姿は、11世紀に始まった要塞が約200年にわたって拡張された結果なのです。
王宮から牢獄、処刑場へ


ロンドン塔は「牢獄」として特に有名ですが、もともとは王の居住する宮殿でした。中世のイングランド王たちはここで暮らし、外国の君主や外交使節を迎えました。また、王の財宝を保管する場所、武器や軍事装備を管理する場所としても利用されました。
一方、王にとって危険な人物を閉じ込める牢獄としても使われます。ただし、現代の刑務所をイメージすると少し違います。ロンドン塔に収容された人物には、王族や貴族、宗教指導者など身分の高い人も多く、誰でも無差別に入れられる牢獄ではありませんでした。収監された人物の中には、比較的自由に過ごすことを許され、使用人を置くことまで認められた人もいました。
それでもロンドン塔が「恐ろしい牢獄」というイメージを持つようになったのは、多くの著名人がここに幽閉されたためです。ヘンリー8世の2番目の王妃アン・ブーリンもその一人で、1536年にロンドン塔へ送られ、塔内で処刑されました。彼女のほか、ヘンリー8世の5番目の王妃キャサリン・ハワードや、後に「9日間の女王」と呼ばれるジェーン・グレイもここで処刑されています。
ただし、ロンドン塔で処刑された人は一般に想像されるほど多くありません。塔内で処刑された人物は限られており、多くの公開処刑は塔の外にある「タワー・ヒル」で行われました。現在のロンドン塔に残る「処刑場跡」では、そうした歴史を知ることができます。
「王冠の宝石」と黒いカラス

現在のロンドン塔を訪れる観光客にとって、特に人気が高いのが「クラウン・ジュエル(王冠宝器)」です。イギリス王室が現在も使用する王冠や宝珠、笏などが収蔵されており、戴冠式で使われる重要な品々を見ることができます。なかでも有名なのがセント・エドワード王冠や、ダイヤモンド「カリナン」を組み込んだ王冠・笏などです。王冠宝器は現在も王室の公式行事で使用されるため、単なる歴史資料ではなく、イギリス王権の現在にもつながっています。
そしてロンドン塔には、もう一つ有名な存在があります。カラス(レイヴン)です。「ロンドン塔からカラスがいなくなると王国が滅びる」という伝承があり、現在も複数のカラスが飼育されています。カラスには専任の「レイヴンマスター」が付き、餌や健康状態などが管理されています。これは中世から続く制度というより、19世紀以降に広まった伝説と慣習ですが、現在ではロンドン塔を象徴する存在になっています。
また、ロンドン塔には動物園があったという意外な歴史もあります。13世紀、ヘンリー3世は神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世からゾウを贈られ、ロンドン塔で飼育しました。その後もライオンなどの珍しい動物が王への贈り物として集められ、長く「王室動物園」として機能しました。現在のロンドン動物園のような施設ではありませんが、王権の威信を示すために珍しい動物を飼育していたのです。

ロンドン塔の歴史を知ると、イギリスの世界遺産ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター寺院及び聖マーガレット教会との関係も見えてきます。どちらもイングランド王権の歴史を伝える重要な場所ですが、ウェストミンスターが政治と戴冠、議会の中心として発展したのに対し、ロンドン塔は王権を守る軍事拠点・王宮・監獄として機能しました。






イギリスの王朝の歴史を初めから見てきたお城.時々の王がそして王自身もこのテムズ川の辺りの城
で何人悲しみの中で亡くなったのか.暗いイギリスを象徴する、世界遺産.
必見です.