「アルベロベッロのトゥルッリ」はイタリア南部のアルベロベッロというコムーネ(自治体の最小単位)にある世界遺産。トゥルッリという伝統家屋群が世界遺産の対象になっています。
トゥルッリは白い漆喰塗りの壁に円錐形のとんがり屋根が特徴的で、この地方でのみ見ることができる建物です。現在1000軒ものトゥルッリがあります。接合剤を使わない先史時代から伝わる建築方法で造られた建物が現在も生活に使用されています。
スペイン統治時代に、税金逃れのために壊しやすい家を造ったのがトゥルッリのはじまりといわれています。
この白い漆喰塗りの壁に可愛いとんがり屋根が特徴的な伝統家屋群は、1996年、イタリアの世界遺産に登録されました。
とんがり屋根を持つ建物群の歩み
ポポロ広場から階段を降りると、イタリアだけでなく世界どこに行っても見たことのない風景に出会います。その一風変わった建物群はなだらかな斜面に広がっています。
この謎に包まれたトゥルッリの起源は説がたくさんあり、定かではありません。真実味の高いものとしては、冒頭で掲げたスペイン統治時代の税金逃れのため。
1635年ころの記録によると、モルタル(漆喰)で塗装された屋根のある家のみ課税の対象となり、この付近一帯を治めていた領主であるジャン・シローラモ・アックァヴィーヴァが、モルタルを使わず乾いた石のみを使う工法でトゥルッリを建てさせたのがはじまりのようです。
徴税のために役人が来ても、屋根から石を降ろしたり壊したりして「これは家ではない」と主張し、役人が帰るとまた組み立てるといった具合だったようです。
アルベロベッロ=「美しい木」という意味を持つ地にありながら、木材を使った家がないのも奇妙な話です。現在真実は明確にされていませんが、いずれ変わる日が来るかもしれませんね。
まるでキノコのようなお家の構造
漆喰で仕上げた円筒形・長方形の家に、キノコのような形をした灰色のとんがり屋根が載せられています。特に屋根の小塔が美しく飾られ、まるでアートの世界そのものです。
外壁と内壁の間に詰められた土砂は、天水をろ過しながら地下水槽に送るなど、気候に適した工夫もされています。壁が曲線を描いているので、構造上内部を仕切ることが難しく玄関らしきものはありません。
大きな家の中には部屋がいくつも作られているものがあり、その部屋の中で一番大きいものが居間です。居間の広さは10畳程度。トゥルッリが繋がってできているので、部屋と部屋の間には廊下はありませんが、キッチンや部屋の間には出入口が造られています。
おとぎの国のようなアルベロベッロの見どころ
現在もこの可愛らしい家には一般の人々が暮らしています。1階建ての家がほとんどですが、18世紀の半ばに建てられたものの中には、「トゥルッリ・ソヴラーノ」という2階建ての建物もあります。ここは、博物館にもなっています。
アルベロベッロには、トゥルッリが密集する地区が2つあります。
モンティ地区
その一つモンティ地区にあるトゥルッリ建築様式を模したサン・アントニオ教会は、トゥルッリの屋根と同じような構造のクーポラを持ちシンプルな教会ですが独特の雰囲気は味わってみたいものです。
屋根の上のテラスを無料開放しているお店がいくつかあります。小塔のような形や屋根のシンボルを見比べたりしながら散策するとトゥルッリの魅力をもっと感じられるかもしれません。
アイア・ピッコラ地区
もう一つは、アイア・ピッコラ地区。こちらはほとんど観光地化されておらず、モンティ地区より古いトゥルッリが集まっています。
約400あるといわれるトゥルッリはひっそりとしていますが、洗濯物が干してあったり、花や緑が飾られたり、地元の人々の日常生活を垣間見ることができます。観光のメッカモンティ地区と比べて歩くのも楽しいかも。
「アルベロベッロのトゥルッリ」のまとめ
トゥルッリ群の多くは土産物店や飲食店として利用されていることが多いので気軽に見て回ることができます。高台にあるジャンジローラモ広場からの景色は格別なので、全体的な風景を見るのにおすすめです。
また、アルベロベッロのように世帯が密集して建っている地域は、家同士がくっついて長方形を形成していますが、少し田舎に入ると丸味を帯びたものが多く広々としたスペースに建っています。比べて見学してみるのも楽しいかもしれません。
トゥルッリのとんがり屋根の部分には絵や記号などが描かれています。魔除けのためのマークとも言われていますが、詳しいことはわかっていないそうです。
ちなみに、アルベロベッロは日本の世界遺産の白川郷とは姉妹都市の関係にあります。見た目も似ていますね!
役に立ちました
見やすかった
一度行ってみたいですビックリするほどきれい
めっちゃ可愛い
ゲームとかに出てきそう…可愛い(*’▽’)
白川郷と姉妹都市なんてすごいですね!!
役に立ちました!