「イラク南部のアフワル:生物多様性保護区とメソポタミア都市群の残存景観」は、2016年トルコ・イスタンブルで開催された第40回世界遺産委員会において、イラクの世界複合遺産として新規登録されました。
イラク南部のアフワル
イラク南部のアフワルは、チグリス川、ユーフラテス川の流域にあり、流域に広がる湿地帯が、世界4大文明の一つメソポタミア文明を生み出したといわれています。
本遺産は、3つの遺跡群と4つの湿地帯から構成されています。
古代都市遺跡
ウルク、ウル、テル・エリドゥの3つの遺跡群が本遺跡の古代都市遺跡に該当します。
その中でウルは、アブラハム(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の啓典の祖、信仰の父)とその兄弟の誕生の地であり、旧約聖書に出てくる「エデンの園」があった場所と考えられています。
湿地帯
東ハマー、西ハマー、フワイザ、セントラルの4つの湿地帯が本遺跡の湿地帯に該当します。
湿地帯は、多彩な渡り鳥や数々の固有種・絶滅危惧種が生息しており、豊かな生態系が形成されています。
しかし、旧イラク政権下の際には、故サダム・フセインの指示のもと、生態系が広範囲にわたり破壊されました。
現在では、徐々に元の姿へと回復しており、長期的な管理計画のもと、再生、保護・保全への道を歩み始めています。