テキーラの古い産業施設群とリュウゼツランの景観
メキシコの特産品であるリュウゼツランから造られる蒸留酒は、ハリスコ州テキーラ市周辺の限られた原料・製法で作られたもののみをテキーラ、それ以外のものをメスカルと呼んで区別されます。世界遺産に登録されているのは、テキーラの原料となるリュウゼツランの一種の栽培地や醸造所群が中心となっています。
テキラリュウゼツランは、3500年前にはこの地に自生していたものと考えられ、テウチトラン文化期にこの地に住んでいた先住民たちは、リュウゼツランの様々な部位を、縄や織物、建材などとして活用していました。そして何よりも、その絞り汁を発酵させた飲料を製造するのに用いていました。16世紀になるとスペイン人のコンキスタドールたちが入植し、フランシスコ会士たちの手によって、この地方の最初の植民都市サンティアゴ・デ・テキーラも建造されました。