タッシリ・ナジェール
タッシリ・ナジェールは、アルジェリア南東部、サハラ砂漠の中央にある台地状の山脈です。頂上付近、標高2000メートルの台地には、茸のような形の岩が、塔のように並び立ち、さながら別の惑星のような風景が広がります。さらに、この奇岩の岩陰には、古代人の描いた不思議な絵が、2万点以上も隠されているのが見つかりました。
8000年前ごろから描かれたというそれらの絵にはダンスに興じる古代人の姿や、牛や羊の群れ、そしてキリンの姿なども数多くありました。サハラ砂漠が砂漠になる以前の土地の様子が描かれていたのです。その様式はングニ族以前の南アフリカ美術や、西暦1200年以前にサン族によって描かれた洞窟壁画などとも類似性を持つものが多くあります。