ようやくアクロポリスに到着した。目の前には、写真で何度も見たパルテノン神殿がそびえ立っている。実際に目にすると、その壮麗さに圧倒される。
まずはプロピュライア(前門)をくぐる。この門は単なる入口ではなく、神殿への荘厳な導入部だ。ペリクレス時代に建設されたが、戦争の影響で未完成のまま残っている。それでも、白い大理石の柱が並ぶ姿は、十分に威厳を放っている。
門を抜けると、左手に小さな神殿が見えてきた。これはアテナ・ニケ神殿だ。戦勝の女神アテナ・ニケを祀るこの神殿は、ペルシア戦争での勝利を記念して建てられたという。規模は小さいが、精巧な造りが印象的だ。
次に、アクロポリスの中心、パルテノン神殿へと向かう。近づくにつれて、その壮大さがますます際立ってくる。どうやって紀元前にこれほどの建築を完成させたのだろう?巨大な柱はドーリア式で、わずかに内側に傾いている。これは、遠くから見たときに視覚的にまっすぐに見えるように計算されたものらしい。細部にまでこだわった設計に、古代ギリシャの職人たちの技術力の高さを感じる。
パルテノン神殿を堪能した後、エレクティオン神殿へと足を運ぶ。ここで目を引くのが、カリアティードの柱だ。女性の彫像が柱となり、神殿を支えている。そのデザインの美しさにしばし見惚れる。実は、ここにあるものはレプリカで、オリジナルは博物館に保管されているそうだ。
アクロポリスのどこを歩いても、歴史の重みを感じる。ここはただの遺跡ではなく、古代ギリシャの人々が培ってきた文化や信仰が息づく場所なのだ。壮大な建築、精巧な装飾、そして歴史に彩られた物語の数々。すべてが心に深く刻まれる。
アクロポリスを後にしながら、またいつかここに戻ってきたいと強く思った。