学生:「ガイドさん、世界遺産の中で“愛”が込められた建築って何かありますか?」
ガイド:「そうですね、まず思い浮かぶのはタージ・マハル。それと、ちょっと意外かもしれませんが、アヤソフィアも別の意味で“愛”に関係しているんですよ。」
学生:「タージ・マハルは王様が愛する妃のために建てたんですよね?」
ガイド:「はい。ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハーンが、亡くなった最愛の妃ムムターズ・マハルのために建てたお墓です。白い大理石で作られた美しい霊廟(れいびょう)は、まるで天国を地上に再現したような建築と言われています。」
学生:「すごくロマンチックですね! でもアヤソフィアは“愛”と関係あるんですか?」
ガイド:「アヤソフィアは、東ローマ帝国のユスティニアヌス1世が、神への信仰と帝国への愛を込めて建てた大聖堂なんです。彼は、これを“世界で最も偉大な教会”にしようと考えたのですよ。」
学生:「神への愛…なるほど。でもその後、モスクに変わったんですよね?」
ガイド:「そうです。1453年にオスマン帝国がコンスタンティノープルを征服し、スルタン・メフメト2世がこれをモスクに改修しました。その際、キリスト教のモザイク画の多くは漆喰で覆われ、イスラムの装飾が施されました。」
学生:「建築の運命が変わるのって、歴史のダイナミズムを感じますね。でも、それがどうして“愛”とつながるんですか?」
ガイド:「ユスティニアヌス1世の神への愛もそうですが、アヤソフィアをモスクに変えたメフメト2世も、この建物の美しさを愛していました。だから破壊せずに、新しい形で受け継いだんです。」
学生:「なるほど…それって、文化や宗教が違っても、建築への“愛”が共通していたってことですね?」
ガイド:「その通りです!タージ・マハルは個人の愛、アヤソフィアは信仰と文化の愛が込められた建築。どちらも“愛”の表現ですが、視点が違うのが面白いですよね。」
学生:「こうやって比べると、建築ってただの建物じゃなくて、愛や信念が形になったものなんですね。」
ガイド:「そうです。だからこそ、長い歴史を超えて、今も多くの人の心を動かし続けているのですよ。」