「まるでホグワーツみたい……!」
エミは思わず声を上げた。目の前にそびえ立つダラム城と大聖堂の荘厳な姿に、心が震えた。イギリスの北部、ダラムの街。ここは映画『ハリー・ポッター』シリーズの撮影地のひとつとして知られており、特にダラム大聖堂の回廊はホグワーツ魔法学校のシーンで使われていた。
エミは幼いころから『ハリー・ポッター』が大好きだった。いつかホグワーツのような場所に行ってみたい――そう願い続けてきた。そして今、その夢が目の前に広がっている。
魔法学校のような城
ダラム城の門をくぐると、石造りの建物がどっしりと構えていた。城は現在、ダラム大学のカレッジの一部として使われているが、かつては貴族や司教の住まいだった歴史がある。
エミは胸を高鳴らせながら、広間や螺旋階段を巡った。どこもかしこも、まるでダンブルドア校長が歩いていそうな雰囲気だ。
「もしかしたら、どこかに秘密の通路があるかも……」
そんな妄想が膨らむ。ふと、廊下の壁に古びた絵がかかっているのに気づいた。まるでホグワーツの肖像画のように、今にも動き出しそうだった。
ホグワーツの回廊
次に向かったのはダラム大聖堂。美しいゴシック様式の建築が広がり、天井の高い内部には荘厳な静寂が満ちていた。
エミが特に楽しみにしていたのは、大聖堂の回廊だった。映画で何度も見た場所。ハリーやロン、ハーマイオニーが談笑しながら歩いていたあの場所。エミはそっと足を踏み入れた。
「ここでハリーがフクロウのヘドウィグを連れていたんだ……」
まるで魔法界に入り込んだかのような感覚。エミはそっと目を閉じた。すると、頭の中で映画のシーンがよみがえる。魔法薬の授業、クィディッチの試合、クリスマスの大広間――すべてがこの場所につながっている気がした。
魔法は、どこにでもある
夕暮れ時、大聖堂を出たエミは、橋の上で立ち止まった。川面に映るダラム城の姿は、まるで魔法の城のようだった。
「やっぱり、魔法ってあるんだね」
それは、呪文や杖だけの話ではない。こうして大好きな世界に触れ、夢が叶った瞬間。心が躍るような感動を味わうこと――それこそが、本当の魔法なのかもしれない。
エミはそっとポケットの中の杖(レプリカ)を握りしめ、小さくつぶやいた。
「ルーモス」
小さな灯りが、彼女の心の中で優しく輝いた。