シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群
シエラ・デ・サン・フランシスコの岩絵群は、メキシコ北部のバハ・カリフォルニア・スル州シエラ・デ・サン・フランシスコ地域のエル・ビスカイノ生物圏保護区に250地点に渡って散在する、岩壁や洞穴の天井などに描き残された先史時代の岩絵群からなる世界遺産です。
この地域は、バハ・カリフォルニア半島での先史的芸術が集中する地で、描かれている人や動物の美しさや色彩の鮮やかさ、その保存状態の良さから、国際的に傑出した先史的芸術作品として知られています。
岩絵は紀元前1100年から西暦1300年頃にかけて、先住民のコチミ人やグアチミ人が残したもの。先住民たちの当時の生活の様子や武器、ウサギやタコなどの多彩な動物の姿がリアルな描写で描かれているだけでなく、2mもの人物像や魔術的な信仰を表したもの、抽象的な図像も描かれています。
これらの岩絵群は、メキシコ北部からアメリカ合衆国南部に住んでいた狩猟遊牧民集団の文化に関わる貴重な資料として、当時の様子を私たちに伝えてくれています。