イタリア北部のトリノは、サヴォイア家が16世紀に都と定めたことから繁栄を始めました。イタリア統一運動の主力となったサヴォイア家は、支配者の威光を誇示するためにこの地にさまざまな建築物を残しています。それらの建物は当時の芸術家や最新技術を駆使した斬新なものでした。
現在でも、それらの建物は壮麗で、威容を誇っています。当時の王宮の多くは、現在博物館や公的施設になっており、一般公開され、見学することが出来ます。1997年、「サヴォイア王家の王宮群」は、その歴史的意義を認められイタリアの世界遺産に認定されました。
「サヴォイア王家の王宮群」主要スポット
カステッロ広場に面した王宮およびその庭園
トリノの中心にある王宮は、1660年頃には一応の完成をみましたが、その後約200年にわたって改築や改装が行われました。
舞台美術家でもあった宮廷建築家フィリッポ・ユヴァッラは、玄関広間の階段周辺を優美な化粧漆喰細工で飾り、中世演劇の舞台を彷彿とさせる演出を施しました。
各室も歴代君主が収集した調度品や絵画・中国陶磁器などで飾られ、サヴォイア一族の芸術への関心の高さを物語っています。
マダマ宮殿
王宮のすぐ南にあるのがマダマ宮殿。古代ローマ時代の建物を改築した中世の城館に15世紀にサヴォイア家が各塔などを増築。
18世紀初め、サルデーニャ島を領土に加えた記念に、ユヴァッラは優美な正面玄関を付け加えています。
ストゥピニージ宮殿
1703年、フィリッポ・ユヴァッラは郊外にサボイア公ビットリオ=アメデオ2世の狩猟用の宮殿としてストゥピニージ宮殿も手がけました。
ここは現在現在はサボイア家の美術品や家具調度品を展示する博物館になっています。
カリニャーノ宮殿
マダーム宮殿の南には、1685年にバロック建築の巨匠グァニリーノ・グァリーニが手掛けたカリニャーノ宮殿があります。
後にイタリア統一王となるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世はここで産まれました。現在カリニャーノ宮殿は国立リソルジメント博物館になっており、イタリア統一時の各種資料が展示されています。
ヴェナリア城
カリニャーノ宮殿より20年ほど前、郊外の狩場には敷地面積約4万5000m²にも及ぶヴェナリア城が建てられました。ヴェルサイユ宮殿をモデルに造られたヴェナリア城は、「ピエモンテのヴェルサイユ宮殿」と謳われ、歴代君主は夏の間狩りに明け暮れ、優雅な日々を送りました。
スペルガ聖堂
トリノを囲む丘の中で669mと最も高いところに建つ聖堂です。1706~1731年にヴェナリア城の増改築に携わった建築家でシチリアメッシーナ出身のフィリッポ・ユヴァッラが長い歳月をかけて建てたバロック様式の建物。この様式の中で最も美しい建物といわれています。