サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院はスペイン北部の自治州であるラ・リオハ州のサン・ミジャン・デ・ラ・コゴージャにある、聖エミリアヌスをたたえて建設された二つの修道院からなる世界遺産です。聖エミリアヌスは、洞窟にこもって40年間隠居生活を送ったというキリスト教の聖者。
スソ修道院
10世紀ごろに建設されたスソ修道院はレポブラション期の建築様式で作られ、簡素で剛健な美しさを現在まで残しています。この修道院は絶壁にもたれかかるように建ち、現存する最古のカスティーリャ語文書が書かれた、歴史ある修道院。
12世紀に作られた聖エミリアヌスの死者像が保存されたサン・ミジャン祈祷所や、雪花石膏を彫って作ったロマネスク様式の聖エミリアヌスの墓があることから、多くの巡礼者が訪れる宗教の拠点ともいえる修道院です。
ユソ修道院
数百メートルを隔てた下方のカルデナス渓谷に建てられたのが、「ラ・リオハのエル・エスコリアル」ことユソ修道院。現存する建物は16世紀から18世紀のルネサンス様式やゴシック様式のもので、スソ修道院と違って、聖具室には金色の木像が並び、天井には豪華なフレスコ画が残されています。共に同じ聖者を称えて建てられた近接した修道院が、それぞれの建築様式の美しさを際立たせているというところが、この世界遺産の素晴らしいところといえるでしょう。