「サラン=レ=バンの大製塩所からアル=ケ=スナンの王立製塩所までの煎熬塩の生産」は、人類の生活に必要不可欠な製塩業と、経済的発展を支える産業建築の歴史を現代に伝える文化・産業遺産として認められた世界遺産で、フランス東部のスイス国境に位置するフランシュ=コンテ地域圏に残るサラン=レ=バンの大製塩所と、アル=ケ=スナンの王立製塩所から構成されています。
サラン=レ=バンの大製塩所と、アル=ケ=スナンの王立製塩所は、どちらも釜で塩水を煮詰めて塩を得る煎熬による製塩施設。塩は食料の貯蔵に必須の食品であることから塩税が課され、フランス王国の国庫の重要な収入源となっていました。
それゆえ、サラン=レ=バンの大製塩所のような古い製塩所は高い壁に囲まれており、さまざまな盗難防止のための設計は他の多くの産業施設の基礎となり、そののちに建設されたアル=ケ=スナンの王立製塩所もまた近代産業建築の模範となるなど、双方ともに製塩業と産業建築の発展にとって需要な役割を果たしたのです。