キュー王立植物園

ロンドン南西部リッチモンド地区のテムズ河畔に広がる約120haの広大な敷地内には、4万種以上の植物が育ち700万点以上の標本植物がある名実ともに世界最大の植物園です。250年にも及ぶ歴史ある植物園は世界各国のガーデン・スタイルを見ることができる素敵なスポットです。

キュー王立植物園の歩み

18世紀にケープル卿が熱帯植物を集めて作った庭がはじまりです。

1759年にジョージ3世の母で后プリンセス・オーガスタが宮廷の庭園として、庭師のウィリアム・アイトンに命じて整備しました。その後、キャプテン・クックに伴って世界各地を旅し、様々な植物を収集したバンクスのコレクションが加わり充実した庭園となりました。

ジョージ3世は、ウィリアム・エイトンやサー・ジョゼフ・バンクスに命じて、その後も庭園の植物を充実させました。旧キュー・パークは1802年に廃止されています。

ウィリアム・チェンバーズの設計による建築物がいくつも建設され、1840年には植物園として開放されています。植物園の園長を務めた植物学者のフッカー父子が植物標本館や図書館を充実させました。

その功績もあり現在は植物園としての役割の他に、植物研究機関としても活動し種子を収集し貯蔵するシード・バンクとしても有名です。また、品種改良を行い、育成条件が整っている植民地に移植するなどの実績も残しています。

キュー王立植物園の見どころ

【世界遺産】キュー王立植物園
photo credit: KEW GARDENS via photopin (license)

野生植物の宝庫として名高く年間100万人以上が訪れる世界最大の植物園。世界各国の植物が咲き乱れ、いつ訪れても素敵な空間です。とにかく広い公園で、メインのみで約3時間、じっくり巡ると2日以上はかかります。

パーム・ハウス

植物園のランドマーク的な存在の巨大な温室。19世紀に建造され、巨大に育った南国のヤシの木やパームなどまるでジャングルのような雰囲気です。

ヴィクトリア朝時代のガラス建築としても貴重な存在です。鉄製の螺旋状のお洒落な階段を使って2階に上がることができ、上から熱帯植物や外にあるテンパレート・ハウスを眺めることもできます。

ミストが突如として噴出したり日替わりのデモストレーションも行われ1年を通して様々な楽しみ方ができます。

クィーンズ・ガーデン

ラベンダーやローズマリー、セージなどのハーブの芳香が美しいクィーンズ・ガーデン。この植物園の北側にひろがるフォーマルガーデンです。幾何学模様に整備されとても壮麗です。

ローズ・ガーデン

パーム・ハウスの隣にあるローズ・ガーデン。2009年に250周年を記念して増設された庭です。イングリッシュローズをはじめ様々な品種のバラが植えられ、5月中旬から6月中旬、9月から10月にかけて美しい花を見ることができます。

テンパレート・ハウス

1859年ヴィクトリア時代に建てられた、4880㎡と大きなグラス温室。この時代の温室としては世界最大で、エントランスの装飾も豪華です。世界最長のチリ産ワインパームが有名です。17mを超えてもまだ成長を続けています。160年ぶりに花を咲かせたアフリカのプロテアも見る価値ありです。

プリンセス・オブ・ウェールズ

1987年設立の故ダイアナ妃の名前が付けられた温室。ダイアナ妃によって建てられた温室で三角形に重なったデザインがとても魅力的です。睡蓮やサボテンが植えられ、睡蓮の花が咲く頃にはピンクの可愛らしい花が水上にたくさん見られます。また、様々な企画が行われ、ライトアップはとてもロマンティックな雰囲気に包まれます。

サックラー・クロッシング

アヒルたちが戯れる人口の湖が設置されています。40種類以上の鳥が放し飼いされ、キューガーデンの中で最も自然を感じる場所です。

ジャパニーズ・ゲートウェイ

桃山時代の京都西本願寺勅使門のレプリカが印象的です。1910年にロンドンの日英展示会のために作られた日本庭園が広がっています。5000㎡と広く美しいランドスケープが見もの。白い砂と緑の松が美しい「正統派」日本庭園も見ものです。

場所は違いますが、2001年には日本の民家が建てられています。こちらには木材は日本から運ばれ茅葺の屋根はイギリスの葦と藁で造られています。

ツリー・トップ・ウォーク

地上18mに建てられた空中散策路です。ガーデンの美しい木々を上から眺めながら歩くと、250年の時の流れを感じることができます。高所恐怖症の方にはちょっと怖いかも。

パゴダ

建築物の中でも、1761年に建てられた中国のパゴダが現存しています。ウィリアム・チェンバーズの設計によるもので、8角形の塔で高さ50mあり10層に分かれて天高く聳えています。内部には253段の階段が設置されています。

キュー・エクスプローラ

園内を40分で1周する観光列車です。途中にある8つの停留所に停まり、乗り降り自由です。敷地内を効率よく回りたい方におすすめです。

また、11時からと14時からの1日2回1時間で周る無料のウォーキングガイドもあります。事前予約をおすすめします。

 キュー・パレス

世界最大の植物園の中に佇むレンガ造りのキュー・パレス。英国王室の領地だった植物園の敷地内には現在も王室の館が建っています。1631年にロンドンの商人によって建てられたオランダ風のカントリーハウスで、別名「オランダ・ハウス」と呼ばれています。

まとめ

【世界遺産】キュー王立植物園
photo credit: Sydney via photopin (license)

広大な植物園には地球に残存する花植物の約10分の1以上が収集されています。3~10月がベストシーズンといわれ、特にバラ咲く頃の6月が人気。ガーデニングファンはもちろんロマンティックな雰囲気を求めるカップルにもおすすめのスポットです。2つのレストランやカフェ、ギフトショップも充実しています。

また、ビクトリア・ゲートから徒歩で約5分にある、1850年創業の老舗ティールームのオリジナル・メイズ・オブ・オーナーは訪れる価値ありです。名物のメイズ・オブ・オーナーはサクサクな食感と仄かにチーズの味が広がり絶品です。ぜひ、いただいてみてください。

公園を巡った後はテムズ川の川岸を散策するのも素敵です。陽が沈む頃の夕焼けはとてもロマンティックです。

ギャラリー

この世界遺産のデータ・地図(場所)

名称キュー王立植物園
イギリス
登録区分 世界文化遺産
登録年

2003年

キーワード

タイトルとURLをコピーする

 

あわせて行きたい世界遺産

 

コメントを書く

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です