ブルガリアのリラがある地域にはリラ修道院という宗教施設が存在しており、1983年に世界遺産として登録されました。
ブルガリアの人々が信仰している宗教はキリスト教の一派である「ブルガリア正教会」が大多数を占めていますが、このリラ修道院はそのブルガリア正教会の中心的存在の一つとされていて、信者達の信仰心を支える大きな存在になってきたと言われています。
リラ修道院の歴史は、10世紀、イヴァン・リルスキーがリラでの生活を始めたことが、その端緒になったと言われています。その後、イヴァン・リルスキーの弟子に当る人々が、この地で生活を始め、リラ修道院は発展を遂げていきました。
後の時代になると、同修道院は、大規模な施設になり、国から保護されるほどにまでなりました。ブルガリアがオスマン帝国の支配下に置かれた時代においても、リラ修道院は、その信仰を認められており、ブルガリア正教の精神や文化などは脈々と伝えられてきたと言われています。
19世紀になると、リラ修道院は、大規模な火事により、大きく損壊しましたが、後に修復工事により再建されました。
聖母誕生教会
聖母誕生教会はリラ修道院の中心部にある教会。4階建ての外陣(修道士の宿泊施設)に囲まれ、敷地の中心部に建っています。
フレリョの塔は、1335年にセルビアの貴族フレリョ・ドロゴボラの寄進により建造された鐘塔です。1883年1月13日の深夜に修道院が大火に見舞われた際、中庭にあった塔は唯一火事の被害を逃れ、オスマンの支配下にあった頃は要塞や修道士の住居として使われていました。
修道院博物館
リラ修道院の中庭を囲む外陣の東部分の1階とその地下は歴史博物館となっています。リラ修道院には数多くの遺物が残り、それらを紹介するために設置されました。ここには、修道院にゆかりのある遺物が展示され、見ているだけで圧倒されます。
博物館は有料(2015年11月現在 8Lv)ですが、展示数が多くブルガリア文化にいかに精通しているかを知ることができる素敵なスポットです。
ラファエロの十字架
展示物の中でも一番の存在感をもつ、19世紀初頭に修道士ラファエロが作った十字架は必見です。木製で高さ50cmほどの小さな十字架ですが、140の聖書の場面が全面に彫り込まれています。登場する人物は1500人もいて、完成まで12年もの歳月を費やしました。1802年に完成しましたが、修道士ラファエロの視力は失われていたと伝えられています。
ブルガリアの歴史を語る展示物
1835年に発行された、ネオフィト・リルスキによる、ブルガリア初の文法書をはじめ、イコンや古い聖書、1865年に製造された印刷機など素晴らしい遺物の数々に目を奪われます。
ブルガリアの歴史を垣間見ながらお宝に触れられる貴重な博物館なので、ぜひ訪れてみてください。
ヨーグルトやバラで有名なブルガリアですがここに訪れると様々な歴史に触れることができ、ブルガリアの人々の心に触れることができる気がします。
僧院内には歴史博物館以外にも19世紀の修道院生活を展示した「19世紀僧院の生活展示」やその時代の出来事や人物を描いた作品、大小合わせて約50枚が展示される「イコン・ギャラリー」など見どころがたくさんあります。