ロードスの中世都市
ロードスの中世都市はギリシアにあるロードス島の主都の旧市街にある遺跡です。かつて聖ヨハネ騎士団が築いた城塞都市の状態が良好に保たれており、中世ヨーロッパ都市の優れた例証として評価され、世界遺産に登録されました。
淡路島の約2倍の面積を持つロードス島は、ギリシャ・エーゲ海に浮かぶ薔薇の花咲く美しい島で、ギリシア本土よりトルコに近く、地中海クルーズの立ち寄る島として栄えています。旧市街は全長4kmの城壁に覆われ、旧市街の騎士団通りには現在も騎士団の館や当時の紋章が残されています。
当時最高の技術と規模で作られた城壁は、その土地柄から隣国のオスマントルコ帝国の脅威への対策として建てられました。実際に、2世紀に渡り移民の攻撃から町を守り、ロードスは華々しく栄えました。ロードス島はその他、世界の七不思議の一つであるロードスの巨像が存在したことでも知られる島となっています。
騎士団長の館
ヨハネ騎士団の前身は、聖地エルサレムで負傷した十字軍の兵士や巡礼者の治療にあたるキリスト教徒の奉仕団体です。
1291年、聖地防衛の拠点を失った騎士団はイスラム軍に追われるようにキプロス島に渡り、さらに1309年、ロードス島に移住しました。城塞を築いて防御を強化し、聖地奪回に向け対イスラム世界の砦となったのです。
騎士たちは主にヨーロッパの名家の出身で、フランスやスペインなど祖国を同じくする者同士が集まり、八つの語族を形成しました。
その頂点に立ち、80m四方で、要塞の趣が強い「騎士団長の館」は、1522年のオスマン帝国軍の攻撃で、 大打撃を受けた後、1856年には火薬庫の爆発によって崩壊。20世紀前半、イ タリア人によって現在の姿に修復されました。