| 名称 | 泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウム |
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| 国 |
中国 |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウム
2021年に開催延期された第44回世界遺産委員会拡大会合において、中国の「泉州 : 宋・元時代の中国における世界のエンポリウム」が世界文化遺産として登録されました。
エンポリウムとは、古代ギリシアの都市国家ポリスにおいて対外交易に用いられた場所のことです。
この世界遺産は宋代から元代(10世紀から14世紀)にかけて、アジアの海上貿易の中心地として発展した中国東南沿岸の港湾都市です。河川と海が交わる地理的優位を生かし、背後の山地で作られた産品を港から世界へと送り出す壮大な流通システムが築かれていました。
かつて泉州を訪れたイタリアの旅行家マルコ・ポーロは、著書『東方見聞録』の中で「アレクサンドリア港に一隻のコショウ船が到着するなら、ザイトン(泉州)には100隻が入港する」と記し、その賑わいを世界に伝えました。また、モロッコ出身の大旅行家イブン・バトゥータもこの地を訪れ、港を埋め尽くす巨大な船の群れに感嘆した記録を残しています。
泉州が世界貿易の中心となり得た背景には、造船や航海に関する優れた技術がありました。当時開発された「水密隔壁構造」は、船底が破損しても浸水を一部の区画にとどめて沈没を防ぐ技術であり、現代の大型船舶にも通じる画期的な発明でした。この造船技術や、泉州の伝統芸能である「南音(ナンイン)」は、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
同じく海上交易の拠点として知られる日本の「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群や、陸のシルクロードの終着点として東西の文化が交差した古代都市(「シルクロード:長安-天山廊下の交易路網」)などと比較すると、古代から中世にかけて人々が海や陸を通じていかに広大な交流ネットワークを築いていたかがよく分かります。イスラム教徒やキリスト教徒、仏教徒が共存した国際都市・泉州の姿は、異文化交流がもたらした豊かな歴史を現代に今も伝えています。