ペルシアのカナートは、2016年にトルコ・イスタンブルで開催された第40回世界遺産委員会で新規登録されたイランの世界文化遺産です。
ペルシアのカナート
カナートとは、地下水路システムのことで、乾燥地帯で行われている取水方法です。山麓の水脈から横穴を掘って地下にトンネルを作り、乾燥地帯であっても水を蒸発させることなく、遠くの町や田畑まで水を運ぶことができるシステムとなっています。
カナートは、イランが発祥の地とされており、イランからヨーロッパやアフリカ、中国などに広まっていきました。
現在、イランには3万以上のカナートがあり、長いもので全長29km、深さ300mに達するカナートもあります。今回、3万以上残っているカナートのうち、11件が世界遺産に登録されました。
ペルシアのカナートがあるイラン高原周辺は、気候や地域的条件から、古代より水が少ない地域でした。ペルシアでは、水不足を克服するため様々な努力を重ねてきました。そして、水不足を解消するために生まれたのが、カナートです。
カナートは、数千年の歴史をもち、かつて、古代オリエントの大帝国ペルシア帝国が、古代メソポタミア文明を凌駕した点の一つに、カナートの存在があったからといわれています。現在も、古代に起源をもつカナートを使用している地域も多々あり、カナートは、古代から現代に至るまで、地域の人々の命を繋ぐシステムとなっています。