パッタダカルの建造物群



インドのカルナータカ州北部に位置する村パッタダカル。ここには6世紀から8世紀に建てられた9つのヒンドゥー教寺院があります。チャールキヤ朝の王族は「戴冠の都」としてパッタダカルを愛し、この都市に多くの寺院を築きました。

現存する9寺院はすべて宇宙の破壊と創造を司るヒンドゥー教のシヴァ神を祀ったもので、これらの遺跡には南インドの王領各地から集められた石工や彫刻家たちの携えてきた経験と技術が集積しいます。

インドには北方型と南方型の寺院があり、パッタダカルの建造物群ではその両方が見られるスポットとしても知られています。

様式の異なるヒンドゥー教寺院が混在する遺跡であることが評価され、1987年に「パッタダカルの建造物群」としてユネスコ世界遺産に登録されました。

ヒンドゥー教の寺院都市「パッタダカル」

パッタダカルの建造物群6世紀ごろにバーダーミを首都とするチャールキヤ朝が成立。古代から肥沃な土地で農耕が発展し栄えた地で、チャールキヤ朝設立以来、南のパッラヴァ朝の戦争が長く続きました。

一時首都であったバーダーミを奪われたチャールキヤ朝はデカン高原へ後退することになってしまいました。その時、バーダーミから、約30kmも離れたパッタダカルの町を、王家の新たな根拠地としました。

パッタダカルの諸寺院はチャールキヤ朝の宗教建築最盛期を成すもので、インドの東部や中部の寺院にも大きな影響を与えているようです。これらの寺院群は切り出した石を積み上げて造られています。北から南にかけてほぼ年代順で、小さいものから大きなものへと並んでいるのも特徴です。ヒンドゥー寺院建築の過程を見ながら見学するのにも最適です。

グルジャラ族王朝文化の特色を語る寺院群

様式にはピラミッドの形をした稜が直線的なインド南方型の寺院と、先端を空に向けた砲弾型でヒマラヤを模した高い塔状の北方型の寺院、更に両方の様式の混ざった物から、低い屋根が平のデカン型など多くの様式を見ることができます。

南方型寺院

ヴィルーパークシャ寺院

中でも壮大な規模の寺院として知られている南方型寺院です。740年代前半にチャールキヤ朝8代目の王ヴィクラマーディチ2世(在位733~744年)が宿敵パッラヴァ朝との戦いに圧勝しました。王の妃ローカマハデーヴィが夫の戦勝の記念にパッタダカル随一の寺院建立を命じ造られたものです。

この寺院はシヴァ神が祀られており、外壁にはほぼ隙間がないほど彫刻が施され、ピラミッド型の3段構成の荘厳な本堂が見ものです。

列柱ホールの拝堂では三方の入口にポーチが設置され、柱で区画された壁面のチャイティヤ窓装飾の組み合った破風のついた壁龕が窓と交互に設けられています。

photo credit: IMG_5963.jpg via photopin (license)

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片足を上げて踊るシヴァ神や、窓からのぞく人などのユニークな彫刻も見ものです。

photo credit: Pattadakal via photopin (license)

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また建物の横には、聖牛ナンディがあり、ナンディが見ている方向にはリンガがあります。

マリカールジュナ寺院

第2の妃が同じく戦勝の祝いとして、ヴィルーパークシャ寺院と同時期に建てられた寺院。ヴィルーパークシャ寺院と装飾や造りが酷似している一回り小さな寺院。

水平層を階段状に積み重ねる「ドラヴィダ式」といわれる形式で、南方型寺院の代表作ともいわれています。

内部は全ての柱や天井にも彫刻が施され見応えがあります。

サンガメーシュワラ寺院

上記の2つの寺院より少しだけ早く造られた南方型の代表的な寺院です。

ジャイナ寺院

東方500mにある9~10世紀に建立された、南方型様式の寺院です。一つ離れたところにありますが、彫刻の像がとても印象的で素晴らしい寺院です。

ヴィクラマーディチャ2世は、敗者のパッラヴァ朝の建築文化の高さに感銘を受け、碑文によれば帰国後はグンダという名の建築家を招聘し、南部の石工や工匠たちを使いパッタダカルの寺院群を造っています。

この3つの寺院が南方型代表で、パッラヴァ朝(戦争で負けた)の首都カーンチープラムのカイラーサ・ナータ寺院をモデルにしたといわれています。

北方型寺院

ガラガナータ寺院

photo credit: Pattadakal via photopin (license)

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南方型に対して北方型の代表はガラガナータとパーパナータの2つの寺院です。砲弾型のシカラをもち、その頂部には球根型のアーマカラが載っているのが印象的です。

パーパナータ寺院

720年ごろに造られたシヴァ神を祀った寺院です。最初に出来た聖室とマンダパの手前に、更に広いマンダパが増築され、全長が28mの巨大寺院となっています。

外壁は付け柱で区切られて、合わさったチャイティヤ窓の破風をいただく壁龕が並んでいます。これには「ラーマヤナ」と」「マハーバータラ」の諸場面を描いた彫刻のパネルが見事です。全体的に垂直なつくりで、外周壁の立ち上がり部には、南方型のミニチュア祠堂があり、南北の様式が未分化に混在しているのも魅力的。

カダシッデーシュワラ寺院

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丸味のある砲弾型が際立つ北方型寺院です。中には、シヴァ神の象徴「リンガ」があります。

北方型寺院には他にも、滑らかな曲線が美しい、「カーシー・ヴィシュヴェーシュワラ寺院」や「ジャンプリンガ寺院」もあります。

これらは、後の北・西インドの壮大なシカラの発展へと繋がっていく5つの寺院です。

パッタダカルの建造物群のまとめ

photo credit: IMG_5982.jpg via photopin (license)

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小さな敷地の中に、お宝を詰め込んだように寺院が並んでいます。どの寺院も年代や様式の特徴を見られるものが多くとても魅力的です。静かな景観を残す地にあり、イスラム教の大きな攻撃も受けずに今に至っています。中世インドの寺院を今に語る景観を見に訪れてみてください。

 

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