プラド通りとブエン・レティーロ:芸術と科学の景観

概要
名称 プラド通りとブエン・レティーロ:芸術と科学の景観
スペイン
登録区分 世界文化遺産
登録年

2020年

2021年に開催延期された第44回世界遺産委員会拡大会合において、スペインの「プラド通りとブエン・レティーロ:芸術と科学の景観」が世界文化遺産として登録されました。

「プラド通りとブエン・レティーロ:芸術と科学の景観」は、スペインの首都マドリードの中心部に位置する都市型の文化的景観です。16世紀に作られた木々に囲まれた遊歩道を原型とし、18世紀の啓蒙専制主義の時代に都市空間の改善と市民への知識開放を目指して大規模に再開発されました。

単なる公園や都市緑地にとどまらず、自然・文化・科学・医療・産業が一体となった斬新な都市設計が行われており、市民の余暇と学術・教育活動が結びついた新しい都市モデルとして評価されています。この都市計画モデルは、のちにラテンアメリカの都市開発にも大きな影響を与えました。

主に以下の点が評価されています。

  • ヨーロッパ初級の都市型緑地:16世紀に誕生したプラド通りは、ヨーロッパの首都において市民の娯楽や散策のために設計された初期の公共緑地空間とされています。
  • 啓蒙思想に基づく都市モデル:18世紀、合理的思考と美観、衛生面を考慮し、自然と文化・科学施設を融合させた先進的な都市計画の典型です。
  • 知の民主化とユートピア精神:科学や芸術の知識を広く市民に開放し、社会をより良くしようとした理想的な社会像を象徴しています。

プラド通りとブエン・レティーロ

一帯は、スペイン帝国の黄金期から啓蒙期、そして現代に至るまで、常にスペインの文化・学術の中心地として機能してきました。

プラド通り

ポプラなどの並木が続く美しい大通り。「アポロンの噴水」「ネプトゥヌスの噴水」、マドリードの象徴としても知られる「シベーレスの噴水」などの記念碑的な噴水が立ち並びます。

プラド通り沿いに位置するプラド美術館は、世界有数の規模と質を誇る美の殿堂であり、ディエゴ・ベラスケスやフランシスコ・デ・ゴヤ、エル・グレコといった巨匠たちの傑作が一堂に会しています。かつては科学自然史博物館として計画されていた建物が美術館へと転用された経緯も、芸術と科学が融合したこの地区ならではの歴史的エピソードです。

ブエン・レティーロ公園

17世紀の宮殿敷地跡に広がる約120ヘクタール(敷地全体の約半分)の大規模な庭園です。

ブエン・レティーロ公園内に建つ美しいガラス張りの建築「ガラスの宮殿」は、19世紀後半の鉄とガラスによる建築技術の粋を集めたもので、現在も展覧会や散策スポットとして世界中の観光客を集めています。

この「自然・芸術・都市構造が一体となった景観」という考え方は、スペイン国内の他の世界遺産とも深く繋がっています。例えば、マドリード近郊に位置するアランフエスの文化的景観は、タホ川沿いに広がる王家の庭園と都市計画が評価された世界遺産ですが、自然と人間による設計が融合した壮大な景観という点において、プラド通りやブエン・レティーロ公園の思想的・歴史的な先駆けとも言えます。また、啓蒙期の都市計画という視点では、同じく近郊のマドリードのエル・エスコリアルの修道院と王室用地などとともに、スペイン王室が主導した大規模な建築・都市美化政策の歴史を今に伝えています。

この世界遺産のデータ・地図(場所)

名称プラド通りとブエン・レティーロ:芸術と科学の景観
スペイン
登録区分 世界文化遺産
登録年

2020年

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