古代都市パレンケと国立公園
古代都市パレンケと国立公園はユカタン半島の付け根にあたるメキシコ南東部チアパス州にある、マヤ文明の古代都市の遺跡からなる世界遺産です。
7世紀に最盛期を迎えたマヤ文明の古代都市パレンケの遺跡は、宮殿を中心とする「マヤ遺跡の典型」ともいうべき建物群ですが、18世紀にスペイン人の手により発見されるまで、その姿を密林のなかに埋もれていました。
1952年6月15日、メキシコの考古学者アルベルト・ルスが「碑文の神殿」の地下室に辿り着き、室内の壁面の奥に鍾乳石の垂れ下がる広い洞窟のような部屋を見つけ、殉死者と目される数体の遺体と肖像画やマヤ文字に囲まれた室内で、数多の装飾品とともに石棺に横たわるパカル王の遺体を発見しました。
この王墓の発見は、それまで中央アメリカで発見されたピラミッドは神殿の土台に過ぎないものと長い間考えられてきた定説を払拭し、当時の考古学界に大きな旋風を巻き起こしたのです。パカル王は翡翠の仮面をまとった姿で石棺に治められており、マヤ人にとってもっとも高貴な色とされた翡翠の緑色の輝きは、当時の繁栄と王の功績を鮮やかに現代に伝えています。