タラゴナの考古遺産群

タラゴナの考古遺産群はスペイン東部のカタルーニャ州タラゴナ県の県都であるタラゴナ周辺に残された、古代ローマ時代の建設物からなる世界遺産です。地中海に面し、紀元前218年に古代ローマ軍によって征服されたタラゴナは物流の要所であり、古代ローマ時代にはイベリア半島最大規模の都として栄えました。 ユリウス・カエサルによって市街が整備され、歴代のローマ皇帝が好んで在留する皇帝直属の都市となったことから、多く...

サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ

サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナは、アフリカ大陸の北西部の大西洋に浮かぶスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島北部の都市であるサン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナの都市景観からなる世界遺産です。一般的には単に「ラ・ラグーナ」と呼ばれるこの都市は、近年リゾート地として栄え、ヨーロッパの人々の中で最も人気のあるリゾート地のひとつに数えられています。 サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナの本格的な都市...

イベリア半島の地中海沿岸の岩絵

イベリア半島の地中海沿岸の岩絵はスペインの南部から東部にかけて、カタロニア州、アンダルシア州、ムルシア州、バレンシア州、アラゴン州、カスティーリャ=ラ・マンチャ州の6つの州にまたがった727か所の洞窟に描かれた、先史時代の岩壁画から構成される世界遺産です。 岩絵の正確な作製年代は調査中ですが、おおむね紀元前8000年頃から前3500年頃にかけて描かれた岩絵の多くは、洞窟の自然光がさしこむ範囲に描か...

ティエラデントロ国立考古公園

ティエラデントロ国立考古公園はコロンビアのカウカ県に残る考古遺跡。先コロンブス期の文化的宝庫として1995年に世界遺産に登録されました。6~10世紀に先住民の農耕民族であるパエス族によって大量に作られた小さな洞窟タイプの地下埋葬所と記念碑的な像が発見されており、その中には数多くの壁画が描かれています。 ここにはセゴビアの丘、小妖精たちの丘、サン・アンドレスの丘、 アボカドの丘など点在しています。こ...

カルタヘナの港、要塞、歴史的建造物群

カルタヘナの港、要塞、歴史的建造物群は南米コロンビアのボリーバル県の港町カルタヘナに残る建造物群を対象とする世界文化遺産です。かつてスペイン人から「インディアスの真珠」と称えられたほど繁栄したカルタヘナには、スペイン植民都市時代の堅牢な要塞と美しい建造物群が多く残り、いまなお「コロンビアでもっとも美しい港街のひとつ」とも言われています。 1533年6月にペドロ・デ・エレディアによって建設されたカル...

古都メクネス

古都メクネスは、モロッコの首都ラバトから東に130km、フェズの西60kmの平野に位置する都市です。古都といっても、現在も約53万人の人びとが暮らしています。1666年現在につながる王朝が樹立し、最初の都が築かれた場所でした。 気候が温暖で水に恵まれたこの土地には、もともとベルベル人が町を築いていましたが、国王ムーレイ・イスマイルが大改造をはかりました。17世紀後半、ムーレイ・イスマイルは当時強大...

サンギラン初期人類遺跡

サンギラン初期人類遺跡 サンギラン初期人類遺跡はインドネシアのジャワ島の東側中央辺りにある町ソロの近く、サンギラン周辺地域で発見されたピテカントロプス・エレクトゥス、通称ジャワ原人の人類化石の宝庫地です。 1891年オランダ人医師デュボアによって最初の化石が見つかって以来、世界中で発見された人類化石のおよそ半分が、インドネシアのサンギラン周辺地域で発掘されています。 サンギラン一帯は、古代には海で...

サン・アグスティン考古公園

サン・アグスティン考古公園はコロンビアのマグダレナ川上流の標高1200mから2000mの山岳地帯に500km2の範囲にわたって点在する独特な石彫で知られる遺跡群です。 主な遺跡だけでも30ヶ所前後に達し、南米でも最大規模の遺跡となっています。サン・アグスティンは、1757年にスペイン人修道士サンタ・ヒエルトゥディスが旅行記に記したことが最初の記録となっており、その間、エル・ドラドを求める好事家や一...

スヴェシュタリのトラキア人の墳墓

スヴェシュタリのトラキア人の墳墓はブルガリア北東部に位置する紀元前3世紀頃に建設されたトラキア人王族の墓古代墓地です。1982年に小さい丘から発見されましたが、当時のトラキア人の宗教建築の基本的な構造原理を伝えてくれる遺構となっています。1985年に世界遺産に登録されました。 墳墓の内部には、多彩色の半人半植物女人像の柱、彩色された壁画、「カリアティード」と呼ばれる彫像が残されている他、直径70m...

サンタ・クルス・デ・モンポスの歴史地区

サンタ・クルス・デ・モンポスの歴史地区はコロンビアの北部、マグダレナ川を河口から約200kmさかのぼった上流にある、サンタ・クルス・デ・モンポスの町並みです。1540年、カルタヘナ総督のファン・デ・サンタ・クルスが築き、内陸に物資を運ぶ水運の要衝として栄えた街には、18世紀半ばにはレンガづくりの建物が約600戸あったといわれています。 白壁の家が連なるコロニアル様式の街並みは、ノスタルジックな雰囲...

スレバルナ自然保護区

スレバルナ自然保護区 スレバルナ自然保護区はブルガリア北部の南ドブルジャ地方、シリストラ州にある厳正自然保護区です。ヨーロッパとアフリカの間の渡り鳥の通り道となっており、その生息地として主なスレバルナ湖は推進1~3mの非常に浅い湖です。湖畔にはヨシをはじめとする水生植物が自生しており、その種類は67種にのぼります。 また、保護区内の動物相は豊かで39種の哺乳類、21種の爬虫類・両生類、10種の魚類...

スマトラの熱帯雨林遺産

スマトラの熱帯雨林遺産 スマトラの熱帯雨林遺産はインドネシアはジャワ島の西に位置するスマトラ島の熱帯雨林で、スマトラ島北西部から南東部へとのびるバリサン山脈に広がる地域です。面積は約2万5000km2に及びます。 スマトラの熱帯雨林遺産には、グヌン・ヌセル国立公園、ケリンチ・セブラ国立公園、ブキット・バリサン・セラタン国立が含まれます。2011年に危機遺産リストに登録されました。 東南アジア独特の...

ウジュン・クロン国立公園

ウジュン・クロン国立公園 ウジュン・クロン国立公園は世界有数の火山地帯、1万8千の島々からなるインドネシアのジャワ島の西端のウジュン・クロン半島に位置しています。かつて沖合いにある火山島の大噴火により壊滅した熱帯雨林が100年の時をかけて熱帯のジャングルは甦り、動物たちが帰ってきた土地となっています。 絶滅の危機にあるジャワサイが暮らすのは地球上で唯一ここだけとなっており、他にもバンテン(野生牛)...

ヴォルビリスの古代遺跡

ヴォルビリスの古代遺跡はモロッコにあるモザイクに彩られたローマ時代の古代遺跡です。「ムーレイ・イドリス」という古都があり、聖者の町と呼ばれています。 オルフェウスの家はモザイクの保存状態がよく、ギリシャの吟遊詩人オルフェウスの神話のモザイク画となっています。ガリエヌス帝の浴場は、低温、高温、冷温の3室のサウナ施設でした。 オリーブ圧縮工場があるその背景には紀元前1世紀ごろにベルベル人の部族がカルタ...

テルアビブの白い都市 – 近代化運動

テルアビブの白い都市は1920年代から1950年代にかけて白色や明るい色の建造物群が建てられたイスラエル・テルアビブの街区の名称です。バウハウス様式、あるいはインターナショナル・スタイルの建造物群となっています。 テルアビブの中心地区には4000以上のこういった建造物が見られます。20世紀前半の建築や都市計画を考える上で逸することの出来ない優れた例証として文化遺産に登録されました。 テルアビブが建...

コロンビアのコーヒー産地の文化的景観

コロンビアのコーヒー産地の文化的景観は、コロンビア西部にあるアンデス山脈の西側と中央部の麓の7県にまたがる広大なエリア、コーヒ―の生産が100年以上続けられる土地として、2011年に世界文化遺産に登録されました。 この地方の農村の6つの景観が登録になっており、ここでは高地の森の狭小な土地でのコーヒー栽培や山の斜面でのコーヒー栽培など、厳しい環境に適応した農法が開発され、生産性・持続可能性・そして、...

エッサウイラのメディナ(旧名モガドール)

エッサウイラのメディナ(旧名モガドール) エッサウィラは、かつて「モガドール」と呼ばれたモロッコ王国マラケシュの西の大西洋岸の港湾都市です。またメディナはベルベル語で旧市街を意味します。歴史は古く、紀元前 800年頃にフェニキア人により港町として造られて栄えていました。 また沖合いのモガドール島からローマ時代のヴィラが発見されています。15世紀になると今度はポルトガル陣による町づくりが始まり、現在...

アッコ旧市街

アッコはイスラエル北部の西ガリラヤ地方に位置する町で5000年に渡る歴史を築く町となっています。現在はイスラエル建国後もこの地に残ったパレスチナ人の居住区となっています。 古くは地中海に面する重要な港湾都市として、また聖地エルサレムへの玄関口としてスラム教とキリスト教の勢力が支配を巡ってせめぎ合ってきた土地となっています。現在の町は18世紀から19世紀にかけてオスマン帝国が築いたものです。 しかし...

ネゲヴ砂漠の香の道と都市群

ネゲヴ砂漠の香の道と都市群 ネゲヴ砂漠、イスラエルの南部に広がるその砂漠には今も集落が残ります。名前の通り、お香を運んだ交易ルートに発展した4つの砂漠都市が世界遺産に登録されています。 最盛期は紀元前3世紀から後2世紀にかけてで、アラビア半島の南やアフリカの東側の紅海付近やインドに分布する乳香貿易のために栄えた都市郡となっています。 登録された4つの町のうち、シヴタという町からは灌漑システムが発掘...

クヴェートリンブルクの聖堂参事会教会、城と旧市街

クヴェートリンブルクは、最初のドイツ首都、つまり国家発祥の地です。交易都市として栄えたクヴェートリンブルクの商人や豪農たちが力をつけ、独立を求めましたが、これを規制するために当時の国王は石造りの建造物を禁止したため、木組みの立派な建物が多く建てられることとなりました。 12世紀に建造された聖セルヴァティウス修道院聖堂にはハインリヒ1世の墓地があります。息子の神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世は、1...

マウルブロン修道院の建造物群

マウルブロン修道院の建造物群 マウルブロン修道院は、ドイツ南部の丘陵地帯に建っています。厳格なカトリックの戒律を持っていたシトー会の修道士らによって建てられ、16世紀の宗教改革の後も解体されずに当時の姿を見せてくれる貴重なものです。1993年に世界遺産登録されています。修道院の中庭は、農舎や居住、パン工場や穀物倉庫などから、当時の自給自足を良しとし、禁欲的なシトー会修道士たちの生活や労働の様子を垣...

ランメルスベルク鉱山、歴史都市ゴスラーとオーバーハルツ水利管理システム

ドイツ中央部のゴスラーという小さな町には、10世紀頃から1988年に閉鎖するまで約10世紀も稼働し続けたランメルスベルク鉱山があります。 この鉱山から採掘された銀を使って銀貨が作られ、ゴスラーの町は繁栄貨幣鋳造権を持った町として繁栄し、ローマ帝国の経済を支えることとなりました。 町には、当時作られた地下水を地下からくみ上げる工夫が見られる坑道や、銀貨鋳造の看板が掲げられた職人の家が今も残されていま...

ロルシュの大修道院とアルテンミュンスター

ドイツ・ヘッセ州の小さな町ロルシュにある大規模の修道院跡。764年頃、フランク王国の貴族でこの地の領主カンコルとその母ヴィリスヴィンダによって建設されたといわれています。 カロリング朝時代の建物が残っていることは非常に珍しく、1991年にユネスコ世界遺産に登録されました(ロルシュの大修道院とアルテンミュンスター)。 南部の小さな町にある、大規模修道院跡 修道院跡は現在、「王の門」と教会の一部を残す...

ハンザ同盟都市リューベック

ハンザ同盟都市リューベックは、バルト海に面した北ドイツの代表都市で、中世に栄えたハンザ同盟の盟主でした。 リューベックの歴史 リューベックは、1143年にホルシュタイン伯アドルフによって建設され、ザクセンのハインリヒ獅子公の保護を受けて発展し、1226年に神聖ローマ帝国に直接の忠誠を誓う帝国都市となりました。リューベックの商人たちはノルウェーに進出して商館を建設し、タラやニシンの交易で大きな利益を...

トリーアのローマ遺跡群、聖ペテロ大聖堂及び聖母マリア教会

紀元前1世紀、カエサルにより西ヨーロッパ広域がローマに支配されていました。トリーアはそのカエサルの跡を継いだ皇帝アウグストゥスが、ドイツの西部に流れるモーゼル川中流に築いた植民都市です。商業や文化が発展し、第二のローマと呼ばれるほどでした。 現存する中では最大級と言える円形劇場や、2世紀半ばに作られた公衆浴場や石橋など、歴史的な古代遺跡が残されており、1986年に世界文化遺産に登録されています。 ...

ヒルデスハイムの聖マリア大聖堂と聖ミカエル教会

学術文化の中心地として歴史のある、ドイツはヒルデスハイム地区。ここに建つ2つの聖堂が、世界文化遺産に登録されています。 この聖マリア大聖堂と聖ミカエル教会は10世紀末に完成しており、共にドイツ初期のロマネスク様式の傑作として、装飾品などを含め、後に大きな影響を与えるものとなっています。 聖マリア大聖堂 聖マリア大聖堂の庭には高さ15メートの野バラの木があります。これは、第二次世界大戦中に町の多くが...

ブリュールのアウグストゥスブルク城と別邸ファルケンルスト

18世紀、ライン川にほど近いところにあるブリュールの地に、アウグストゥスブルク城(アウグストゥスブルク宮殿)は建てられました。富と権力が絶大だったケルン大司教であるクレメンス・アウグストが、当時の天才建築家・バルタザール・ノイマンに設計させたものです。 また、本宮殿から2キロ程離れた場所には別邸ファルケンルストが建てられており、クレメンス卿の趣味であった鷹狩の様子が描かれたタイルの壁などを見ること...

ヴィースの巡礼教会

ドイツ南部ののどかな村、シュタインガーデン。そのオーストリア国境近くのアルプス山麓にあるヴィース地区に、巡礼教会が立っています。 このヴィースの巡礼教会はロマンティック街道沿いの草原にぽつんと佇む白亜の教会。奇跡の教会と呼ばれる秘められた伝説をもつスポットとして知られています。この教会の正式名称は「鞭打たれるキリストの巡礼聖堂」です。 1983年、ヴィースの巡礼教会は、人類の創造性を結集した傑作と...

ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場

ドイツの中心部にあるヴュルツブルク司教館は、18世紀はじめに、若き建築家バルタザール・ノイマンによって建設され、ドイツバロック建築の最高峰といわれる宮殿です。ノイマンは、ドイツの50マルク札にも描かれています。 この宮殿はヨーロッパでも傑出したバロック様式であることが評価され、庭園と共に「ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場」として世界遺産に登録されました。 「ヴュルツブルク司教館、その庭園群と...

ミュスタイアのベネディクト会ザンクト・ヨハン修道院

ミュスタイアのベネディクト会ザンクト・ヨハン修道院はスイス東部、イタリアとの国境近くのアルプスの谷間にある修道院です。フランク王国のカール大帝の命を受け建てられたと伝えられているこの修道院は8世紀に建てられました。 教会の東西南北すべての壁には、旧約・新訳聖書の物語から82の場面が壮大な構想のもとに描かれており、そのフラスコ画が今世紀になって見つかっています。中世初期とキリスト教全盛期時代を伺える...

ベームスター干拓地

ベームスター干拓地 ベームスター干拓地はオランダ北西部北ホラント州の都市ベームスターにある、1612 年から1617年に工事が行われた干拓地です。干拓地が国土の大部分にわたるオランダにおいて、オランダ初の干拓地であり、その後の発展の基礎となりました。 元々は、オランダ東インド会社の海外派遣の食糧確保を目的として、農地の創出を企図したものであり、風車を利用して水を排出しました。ですが、実際には排水が...

ベルン旧市街

ベルン旧市街はスイスの首都ベルンに残される中世ヨーロッパ都市の姿を今に伝える美しい町並みです。1191年にツェーリンゲン公ベルヒトルト5世が、アーレ川に囲まれた小高い丘という地形をいかしてニィデックに築いた砦にはじまり、13世紀に自由都市となり時計塔のところまで発展し、その後もそのエリアを拡大、16世紀頃までには、ヨーロッパ最長ともいわれるアーケードや各所に点在する凝った彫像が美しい水飲み場、荘厳...

ベッリンツォーナ旧市街の3つの城と防壁・城壁群

ベッリンツォーナ旧市街の3つの城と防壁・城壁群はスイス南部のイタリア国境付近にあります。カステルグランデ、モンテベッロ城、サッソ・コルバロ城の3つの城は中世における軍事建築の重要な様式を示しています。 またその地理により目まぐるしく支配者が変わったこの町は、ヨーロッパの歴史都市の中でも、時代ごとの人々の要求を絶えず受け入れて発展してきたユニークな町づくりがみられる場所にもなってます。 カステルグラ...

ファン・ネレ工場

ファン・ネレ工場は2014年6月21日に登録されたオランダ10番目の世界遺産です。ガラスやスチールなどの材料を利用し、光あふれる、ゆったりした空間を特徴とし、「オランダの近代主義の象徴」とされるこの工場はロットルダムにあります。 1927-30年に建設されたこの工場は、コーヒー、タバコ、紅茶を製造する工場でしたが、現在はメディアとデザインの会社が入っています。ロッテルダムは第2次世界大戦でその大半...

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体

プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館複合体はベルギーのアントワープ(アントウェルペン)にあり、かつてヴェネツィア、パリとならぶヨーロッパの三大印刷都市として栄えた町でした。1555年、クリストフ・プランタンが印刷工房を建てたことに始まり、開業直後「良家に生まれた娘の教育について」を刊行、続いて多色刷りの銅版画も刊行、その精巧さからプランタンとアントワープの町はヨーロッパ中に知れ渡るところとな...

エルチェの椰子園

エルチェの椰子園は、スペイン南東部の都市エルチェにあるヨーロッパ最大規模の椰子(ヤシ)園からなる世界遺産です。エルチェでは144万m²の広大な土地に11000本以上、樹齢300年以上のナツメヤシが植えられており、最盛期の18世紀には、現在の2倍の面積と20万本以上のナツメヤシが植えられていたといわれています。 この椰子園のナツメヤシは土地の緑化と食糧確保のために7世紀初めにイベリア半島に北アフリカ...

バル・デ・ボイのカタルーニャ・ロマネスク様式教会群

「バル・デ・ボイのカタルーニャ・ロマネスク様式教会群」はスペイン北東部に位置するカタルーニャ州リェイダ県にある狭く側面の切り立った谷、バル・デ・ボイに建設された、9つの初期ロマネスク様式の宗教建築物からなる世界遺産です。ピレネー山脈にあるこの標高の高い渓谷は、昔から人の少ない隔絶された場所。 それゆえにムーア人によるスペイン占領の影響を受けることなく、9世紀頃から最初のキリスト教集落が出来上がりま...

ルーゴのローマ城壁

「ルーゴのローマ城壁」はスペイン北西部に位置するガリシア州ルーゴ県の県都ルーゴに、今もなお残されるローマ城壁の遺跡から構成される世界遺産です。ローマ帝国が山に囲まれた盆地であるルーゴにやって来たのは、紀元前1世紀の終わり頃。 スペイン北部に領土を拡大するためにアウグストゥスの軍団長によって作られた軍の駐屯地が、経済や行政活動の集中した都市として発展して古代都市ルーゴを形成し、3世紀後半からは豊かな...

アタプエルカの考古遺跡

アタプエルカの考古遺跡はスペインの北部に位置するカスティーリャ・イ・レオン州ブルゴス県の町アタプエルカの洞窟に広がって残された、いくつもの先史時代の考古遺跡からなる世界遺産です。アタプエルカの考古遺跡群は、19世紀末の鉄道のトンネル施設工事で山を爆破した時に偶然発見されたもの。 カルスト地形が広がるアタプエルカにはグラン・ドリーナのような洞窟がいくつもあり、先史人が住居としたこれらの洞窟遺跡からは...

アランフエスの文化的景観

アランフエスの文化的景観はスペイン中央のマドリード州南部に位置する都市、アランフエスにある、スペイン王室の宮殿や庭園などの歴史的建造物からなる世界遺産です。タホ川に沿って広がりハラマ川との合流点があるアランフエスは、首都マドリードとも近く、古くからの文化・経済の要衝都市。 アランフエス王宮 16世紀にフェリペ2世の命で建設がはじめられたアランフエスの王宮は、約200年後のフェルナンド6世の治世に完...

ウベダとバエサのルネサンス様式の記念碑的建造物群

ウベダとバエサのルネサンス様式の記念碑的建造物群はスペイン南部に位置するアンダルシア自治州ハエン県に属する2つの都市、ウベダとバエサに広がる歴史地区群のうち、ルネサンス期に整えられた地区から構成される世界遺産です。 ウベダとバエサは約8 kmの距離で隔てられた「双子の都市」と称される都市。ともに8世紀頃にはイスラム勢力の支配下に置かれていましたが、バエサが1227年に、ウベダが1234年にそれぞれ...

ビスカヤ橋

ビスカヤ橋はスペイン北部のビスケー湾に面した港湾都市ビルバオの河口付近にあり、ポルトゥガレテ地区とゲチョ地区を結ぶネルビオン川に架かっている、世界最古の運搬橋からなる世界遺産です。地元では単に「吊り橋」とか、「運搬橋」とも呼ばれるビスカヤ橋の長さは164mで、水面からの高さは45m。 エッフェル塔の建築で知られるギュスターヴ・エッフェルの弟子の一人である建築家のアルベルト・パラシオによって設計され...

フランドル地方のベギン会修道院

ベルギーのフランドル地方にあるブリュージュの町は、ヨーロッパ有数の古い町で水の都として知られています。オランダやベルギーに残るベギン会修道院のうち、フランドル地方の計13件がまとめて世界遺産に登録されました。 ベギン会は北西ヨーロッパの自律的な女子修道会であり、その修道院は、一般には木々に囲まれた中に立てられていました。 また、生活や信仰に関わる建築物の他に、共同体で使われる作業場も含まれた複合的...

ブリュッセルのグランプラス

ブリュッセルのグランプラスはベルギーのブリュッセルの中心地にある大広場です。ヴィクトル・ユゴーが「世界でいちばん豪華な広場」と賛嘆したことでも知られるこの大広場は、今もなお世界の中でも有数の美しい広場に数えられます。 大広場の周辺には、ゴシック建築と華麗なバロック建築の1402年から1455年の間に建造された市庁舎、壁に飾られた包丁や樽、手押し車などの紋章がそれぞれの職業をあらわすギルドハウスが建...

ベルギーとフランスの鐘楼群

「ベルギーとフランスの鐘楼群」は、まず1999年にベルギーのフランドル地方とワロン地方にある鐘楼群が世界遺産に登録され、その後、2005年にフランスのノール・パ・ド・カレ地方とピカルディ地方の鐘楼群が追加登録されました。 現在、55棟が世界遺産に登録されており、ベルギーが32棟、フランスが23棟となっています。 なお、ブリュッセル市庁舎にも鐘楼がありますが、こちらは「ブリュッセルのグラン=プラス」...

建築家ヴィクトル・オルタの主な都市邸宅群 (ブリュッセル)

ベルギーには、トゥルネーのノートルダム大聖堂、ワロン地方の主要な鉱山遺跡など数多くの世界遺産がありますが、ブリュッセルにはアール・ヌーヴォー建築家たちの中心的な存在であった建築家ヴィクトル・オルタによる邸宅の4軒が登録されています。 ヴィクトル・オルタは、アール・ヌーボー建築の先駆けとなった人物です。アール・ヌーボー建築は、ベルギーからその後、パリ、ウィーンに伝播していきました。 当時のブリュッセ...

トゥルネーのノートルダム大聖堂

トゥルネーのノートルダム大聖堂はベルギー西部のフランス国境近くのまち、トゥルネーにある全長134メートル、翼廊の幅66メートル、高さ83メートルを筆頭とする5つの塔がそびえる大聖堂です。12世紀に建てられたトゥルネーのノートルダム大聖堂は、ロマネスクとゴシック、二つの建築様式が混在する独特の姿が特徴です。 その内部には、大聖堂の成り立ちが描かれた全長22メートルにも及ぶタペストリーや、ベルギー七大...

ワロン地方の主要な鉱山遺跡

ベルギーのワロン地方は、同国最古の町であるトゥルネーがあることで知られています。トゥルネーは、ブリュッセルやブルージュに比べて知名度は劣りますが、豊かなフランス語圏の文化を有しています。 有名なノートルダム大聖堂とベルギー最古の鐘楼がおさめられていますが、ワロン地方だけでなく、ドイツ、フランス、ベルギーの国境にまたがるこの地域一帯は良質な石炭鉱が見つかり、かつて大量の石炭が採掘されたところとなって...

ワッデン海

ワッデン海 ワッデン海は潮の満ち引きで6時間ごとに海になったり、陸地になったりという不思議なサイクルを繰りかえす土地です。1日4回繰り返されるこの現象は、砂底を耕すナゾの生物によってが守られています。地球最大規模の干潟といわれるワッデン海は、世界遺産に登録された面積だけでも、全長は500km、約10,000 km²にも渡ります。 オランダとドイツ、デンマークの3カ国にまたがった遺跡となっていますが...

リートフェルトのシュレーダー邸

シュレーダー邸はオランダのユトレヒト市内にあり、1924年に、オランダ人建築家ヘリット・リートフェルトによって未亡人のトゥルース・シュレーダー・シュラーダーと3人の子供たちのために設計、建築された注文邸宅です。1924年に建てられたこの小さな住居は、今日にもその斬新なデザインが評価されています。 リートフェルトは、モンドリアンなどが提唱したデ・スタイル派のメンバーでした。建築のデザインとしては直線...

ピントゥーラス川のクエバ・デ・ラス・マノス

クエバ・デ・ラス・マノスはイグアスの滝で有名なアルゼンチンの南部、サンタ・クルス州にあるピントゥラス川流域の渓谷の洞窟です。その名の「多くの手の洞窟」の意味する通り、多くの手の跡が残された洞窟壁画が代表です。 ピントゥーラス川のクエバ・デ・ラス・マノス 先史時代に描かれたとされる壁画が残され紀元前1万1000年ごろから紀元後700年ごろまで、この地に断続的に移動してきた住民によって描かれたものだと...

ラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺 (エノー州)

ベルギーのエノー州にあるラ・ルヴィエールとル・ルーにあるサントル運河の4つのリフトとその周辺は1998年にユネスコの世界遺産に登録されました。 サントル運河にはムーズ川とエスコー川のそれぞれのドックを連絡している 7km の間に、66.2mの落差が存在しています。この落差を埋めるために1888年に開設されたのが、Houdeng-Goegniesのリフトでした。その後1917年に残り3カ所のHoud...

ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画

ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画はスイスのヌーシャテル州に残る伝統的な時計製造業と結びついた都市計画が評価された産業遺産です。時計産業のメッカとして知られるジュラ山脈の麓に位置するラ・ショー・ド・フォンとル・ロックルという隣接する町はもともとスイスの国定重要文化財でした。17世紀から続く伝統の時計産業のまちは19世紀の大火に見舞われながら町を計画的に再建しました。 ラ・シ...

ラヴォーのブドウ段々畑

ラヴォーのブドウ段々畑 ラヴォーのブドウ段々畑はスイスのローザンヌからモントルーの間のレマン湖北岸の丘陵地帯に広がっています。スイスのワイン栽培の歴史はローマ時代までさかのぼる歴史を持ち、現在の土地は12世紀にシトー会修道士によって耕され、その後、ブドウ栽培者がさらに拡大と改良を重ねたことによってできました。 現在はスイスでも有数の産地になっており、ローザンヌ近郊のキュリー村や、ヴヴェイ近郊のリヴ...

モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地

モンス市スピエンヌの新石器時代の火打石採掘地 モンス市はベルギーのエノー州にある石灰岩地帯の町で、2000年にスピエンヌの新石器時代の火打石採掘地として世界文化遺産に登録されました。 地理的にはトルイユ川とヴァンプ側の二つの川により泥土が運ばれる関係から、古くから石だらけで耕作地には結びつきませんでした。そのため地下の火打石の採掘場として発展した町でした。 採掘は紀元前4000年ころにはじまり、紀...

キュラソー島の港町ウィレムスタット市内の歴史地区

キュラソー島の港町ウィレムスタット市内の歴史地区 キュラソー島の港町ウィレムスタット市内の歴史地区はカリブ海のオランダ自治領、キュラソー島にある町並みです。その歴史的背景からウィレムスタット市内はオランダの首都アムステルダムを連想させるような町並みですが、そこにカリブ海らしいカラフルな家々が並びます。 キュラソー島の歴史は1499年アメリゴ・ベスプッチにより発見され以降スペイン領となったことから始...

スホクラントとその周辺

スホクラントとその周辺 スホクラントとその周辺はオランダ北部のアイセル湖付近、元はゾイデル海に浮かぶ島であった場所です。19世紀以前島は独自の方言や文化を育まれた土地でしたが、高潮で危険であるとして19世紀に放棄されました。以降水没の危機にあった島を救うべく、土木技師でオランダの水利委員会の大臣であったコルネリス・レリー博士により、1942年には、ゾイデル海開発の一環となる北東ポルダー干拓工事によ...

ストックレー邸

ストックレー邸 ストックレー邸はベルギー王国のブリュッセルにある、個人所有の世界遺産です。残念ながら、一般公開はされていませんが、ヨーゼフ・ホフマン設計の建築はアールヌーボーの時代の中にあって時代を先取りするかのような、直線的かつ立方体的外観で、大理石を使用したすっきりとしたシルエットでできています。 銀行家であったストックレーは建築費用を数字のない空の小切手で払ったということでいくらかかったのか...

頤和園

頤和園 頤和園(いわえん)は中国の北京市海淀区にある、庭園公園です。1998年、世界遺産に登録されました。頤和園は1750年、清朝第六代皇帝の乾隆帝が母の還暦を祝い、離宮を造ったのが始まりです。総面積は290ヘクタールで、その3/4を湖が占めています。 人工湖である昆明湖には美しい橋が架けられ、湖畔には仁寿殿、玉瀾堂、楽寿堂等、大小さまざまな建物が点在します。頤和園は第二次アヘン戦争でイギリスとフ...

廬山国立公園

廬山国立公園 廬山は、別名を匡山または匡廬といい、中国江西省九江市にそびえる、標高1543メートルの名山です。仏教の霊山であり、普の彗遠が白蓮社を結成したとされています。1996年に廬山国立公園として世界遺産に登録されました。 雲に覆われた廬山の峰々の姿は、幽玄かつ雄大です。その峰々は見るものを圧倒する厳かさを持っています。峰々の風景の美しさに心を打たれ、李白を始め、司馬遷や陶淵明、白居易など名だ...

天壇

天壇 天壇は中国の北京市東城区にある史跡です。1420年、明の永楽帝が建立したといわれています。建設当時は天地壇と呼ばれていましたが、1534年、天壇と地壇とに分離されました。明清代の皇帝が天に対して祭祀を行った神聖な場所です。敷地面積は約273万m²、1998年に世界遺産に登録されました。 天壇の「壇」とは皇帝の祈祷所のことを指します。なかでも天壇は、自らを天の子、天子であるとされる皇帝が天帝を...

承徳の避暑山荘と外八廟

承徳の避暑山荘と外八廟 中国河北省承徳市に、かつての清の皇帝が夏の離宮として利用した承徳避暑山荘があります。中国で現存する最大の皇室御苑として有名です。1994年に世界遺産に登録されました。 離宮周囲の自然にうまく調和した、野趣あるたたずまいが特徴で、素朴の中にも格調高いその建築様式は蘇州の寒山寺などがモチーフにされています。 宮殿区と苑景区とに分かれており、乾隆帝らが愛した江南地方の美しい風景を...

アルフェルトのファグス工場

アルフェルトのファグス工場 アルフェルトのファグス工場は、ドイツ中部のニーダーザクセン州の都市アルフェルトにある製靴用の靴型工場からなる世界遺産です。アルフェルトは、靴型の製造に適したブナが育まれる豊かな森に囲まれた小さな都市。 ファグス工場が建設された1900年代の工場はレンガや石造りが主流で、窓が小さく薄暗い工場内の労働環境は悪く、工員の怪我が絶えませんでした。ファグス工場オーナーのカール・ベ...

ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエ

ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエ ベルクパルク・ヴィルヘルムスヘーエはドイツ中部ヘッセン州の大都市カッセルの市内西部にある、丘陵部のものとしてはヨーロッパ最大規模の、美しい公園施設からなる世界遺産です。直訳すると「山の公園ヴィルヘルムスヘーエ」となるこの公園は、公園内にヴィルヘルムスヘーエ城やレーヴェンブルク城、カッセルの象徴的建造物であるヘルクレス像などが建設されていて、文化や自然を調和させた...

バイロイト辺境伯歌劇場

バイロイト辺境伯歌劇場 バイロイト辺境伯歌劇場は18世紀にドイツ・バイエルン州の都市バイロイトに建てられたバロック様式の歌劇場からなる世界遺産です。現存するヨーロッパ最古の歌劇場というだけでなく、内装も含めて建築当時のままの姿で保存状態よく残されている、極めて貴重な建物であるといえるでしょう。 バイロイト辺境伯歌劇場はバイロイトに繁栄をもたらしたブランデンブルク・バイロイト辺境伯フリードリヒの妃で...

コルヴァイのカロリング期ヴェストヴェルクとキウィタス

コルヴァイのカロリング期ヴェストヴェルクとキウィタス コルヴァイのカロリング期ヴェストヴェルクとキウィタスはドイツ中部のヴェストファーレン地方の都市、ヘクスターにある旧ベネディクト会修道院コルヴァイとその周辺都市部からなる世界遺産です。コルヴァイは中世ドイツに創立された帝国直属修道院であり、1200年近い歴史をもつ、中世ヨーロッパ史で最も重要な修道院施設。 ヴェーザー河畔という交通の便も良さもあり...

メッセル採掘場の化石発掘現場

フランクフルト中心から南に約25km、ドイツ西部のヘッセン州の村メッセル。ここは始新世前期の化石が良好な保存状態で大量に発掘されたエリアです。ガイドツアーのみ訪れることができます。 大量の化石が出土し、地質学的・古生物学的な重要性から、1995年12月9日、ドイツ初のユネスコの自然遺産に登録されています。 メッセルでの化石採掘は1970年代から本格的に始まりましたが、当初の採掘は露天掘りで、現在で...

カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群

「カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群」は最も多くの国境を越える世界遺産です。2007年にウクライナ&スロバキアの世界遺産として登録、2011年にはドイツに拡大され「カルパティア山脈のブナ原生林とドイツの古代ブナ林群」となった経緯があります。 2017年、さらにほかの国々も追加され12か国に拡大されることになりました。それに伴い、名称も「カルパティア山脈などの欧州各地のブナ原生林群」に変更...

バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダ

バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダ バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダはスペイン南西部の都市バレンシアに絹の商品取引所として15世紀ごろ建てられた、ゴシック様式の建物からなる世界遺産です。バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダの敷地面積は建物とその他を含めて2000 m²を超える広大なもの。 「海の領事の広間」、「塔」、「柱のサロン」、「オレンジの木の中庭」の四つの部分から成り立つ建物は、世俗建...

ラス・メドゥラス

ラス・メドゥラス スペイン北部のレオン県にあるポンフェラーダの近郊に広がるラス・メドゥラスは、帝政ローマ時代に最盛期を迎えた金鉱山の跡地からなる世界遺産です。ラス・メドゥラスの金鉱の枯渇がローマ帝国滅亡の一因であるといわれるほど、歴史的にも重要な役割を果たした。 この地の金鉱脈は、紀元前25年頃にローマ初代皇帝アウグストゥスによりこの地が古代ローマ帝国に征服されて以降、本格的な採掘がはじまりました...

サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院

サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院はスペイン北部の自治州であるラ・リオハ州のサン・ミジャン・デ・ラ・コゴージャにある、聖エミリアヌスをたたえて建設された二つの修道院からなる世界遺産です。聖エミリアヌスは、洞窟にこもって40年間隠居生活を送ったというキリスト教の聖者。 スソ修道院 10世紀ごろに建設されたスソ修道院はレポブラション期の建築様式で作られ、簡素で剛健な美しさを現在まで残しています。こ...

アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区

アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区はスペイン中央のマドリード州東部に位置する都市アルカラ・デ・エナレスにある、15世紀以来の大学都市やその周辺からなる世界遺産です。 アルカラ・デ・エナレスは、「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」の著者として知らせる文豪ミゲル・デ・セルバンテスが生まれたことでも知られる学園都市。 「アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区」目次 世界初の計画的な大学都市「アルカラ...

Ir.D.F.ヴァウダヘマール(D.F.ヴァウダ蒸気ポンプ場)

Ir.D.F.ヴァウダヘマール Ir.D.F.ヴァウダヘマールは別名「D.F.ヴァウダ蒸気ポンプ場」として知られ、オランダ、フリースラント州南部のアイセル湖に面する町レメルにある蒸気式揚水場です。1920年に完成し、建築に携わった技師D.F.ヴァウダにちなんだ名称が付けられています。 干拓によって造成された低地が国土の大部分を占めるオランダでは、歴史的に水の排出が重要な課題でした。主に風力を利用し...

アムステルダムのシンゲル運河の内側にある17世紀の環状運河地域

アムステルダムのシンゲル運河の内側にある17世紀の環状運河地域は、オランダの首都でもあり「北のヴェネツィア」とも呼ばれるアムステルダムにある世界遺産です。 シンゲル運河はヘーレン運河・ケイザー運河・プリンセン運河の3つの運河を主とするその集合体です。アムステルダムの町には100km以上に渡る運河と、約90の島々、そして1500もの橋があります。 これらの3つの運河はオランダの黄金時代である17世紀...

オランダの水利防塞線群

オランダの水利防塞線群 1996年、「アムステルダムの防塞線」が世界遺産に登録されました。これはオランダのアムステルダムにある42の要塞が配置された全長135kmに及ぶ堤防です。この防塞線は1880年から1914年にかけて建設され、アムステルダムの街中を水没させることにより防衛機能を働かせるためにつくられました。 2021年、「アムステルダムの防塞線」は拡大され、その名称が「オランダの水利防塞線群...

コルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群

コルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群 コルドバのイエズス会伝道所とエスタンシア群はアルゼンチンにあるかつてのイエズス会が入植の際に建造したコルドバにある集落跡です。このイエズス会伝道所には、南米最古の大学の一つであるコルドバ大学、モンセラ中等学校、教会、住居などが含まれています。 これらの施設の運営を維持するためにイエズス会は周辺に、 カロヤ ヘスス・マリーア サンタ・カタリーナ アルタ・グ...

ザンクト・ガレン修道院

ザンクト・ガレン修道院 ザンクト・ガレン修道院はスイス北東部の同名の町、ザンクト・ガレンにある修道院です。ザンクト・ガレンの町は、キリスト教の神学研究の拠点としてヨーロッパ中に知られる町です。612年に修道士ガルスがつくった小さな庵に始まり、8世紀に正式に創設されました。 文化と科学知識が集結された学問の総本山として、16万冊にのぼる貴重な写本や稀観書といった図書館の蔵書とあわせて中世ヨーロッパに...

スイスの活発な地殻変動地域サルドナ

スイスの活発な地殻変動地域サルドナ 「スイスの活発な地殻変動地域サルドナ」はスイス東部アルプス山脈山中にある巨大な衝上断層、グラールス衝上断層です。2008年に自然遺産に登録されました。 衝上断層とは、上位の地層が下位の地層に対して緩い角度でずり上がった断層のことで、この衝上断層に沿って、ヘルヴェティックナップが、北側のアアル地塊とインフラ・ヘルヴェティック複合体の上に100km以上にわたってせり...

サン・ジョルジョ山

サン・ジョルジョ山 サン・ジョルジョ山は元々スイスの世界遺産でしたが、イタリアにも範囲を広げ、両国にまたがる世界遺産となりました。国境にあたるルガーノ湖の南、標高1096mの小高い山がサン・ジョルジョ山です。 中生代三畳紀、トライアシック紀の貴重な化石群が見つかった場所となっています。恐竜の祖先といわれるティキノスクス、地球史上最も長い首を持っていたというタニストロフェウスなど、1万点を超す無脊椎...

蘇州古典園林

蘇州古典園林 蘇州古典園林は世界遺産に登録された中国の江蘇省蘇州市にある歴史的な庭園の総称です。蘇州古典庭園ともいわれます。1997年に4か所の庭園が登録され、2000年に5か所が追加登録されました。 蘇州は、市街の中を多くの運河が走り、「東洋のベネチア」と称されています。蘇州の庭園は市街の豊かな水を利用し、池を配置した素朴な美しさが特徴です。庭園は10~20世紀初頭の五代から清の時代にかけて多く...