オシュン=オショグボの聖なる木立
オシュン=オショグボの聖なる木立は、ナイジェリア・オシュン州の州都オショグボにある、ヨルバ人にとって宗教的な意味を持つ原生林です。オシュン州はオシュン川沿いの地域ですが、この川の名前は元々豊穣の女神オシュンに由来しています。
ヨルバ人の神話では、オシュン川はこの女神が姿を変えたものだとされ、この川沿いの原生林には女神オシュンが棲むとされ、そこに社を建てて祀ることで、人々は恵みを受け取れると信じられていました。
時が流れるにつれ、女神オシュンへの信仰心は衰退してしまい、一時は女神オシュン信仰を見ることはなくなってしまい、オシュン川流域で豊かに生い茂る動物相と植物相の中、いつのまにか社はその森と一体化してしまいました。
ですが、オーストリアの女性芸術家ズザンネ・ヴェンガーと地元の芸術家たちのによって再興されることになります。現存する40基の社のうち15基は多かれ少なかれヴェンガーの手が加えられたものです。
オシュン川流域で豊かな動物層・植物相を育んでいるこの木立ちと、一体化している数々の社などが、ヨルバ人の持っていた伝統的な世界観を良く示す文化的景観を形成している点や、類似の祭祀場が他ではほとんど見られなくなっている点などが評価され、世界遺産への登録に至りました。