2017年ポーランド・クラクフで開催された第41回世界遺産委員会において、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が世界文化遺産として登録されました。日本としては21番目の世界遺産の誕生です。
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
福岡県の宗像市(むなかたし)、福津市にある「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、全8件の資産で構成されています。イコモスの事前審査では、沖ノ島並びに小屋島、御門柱、天狗岩の4件での登録が望ましいという、全8件での登録を目指していた日本にとって、大変厳しい結果がでました。しかし、世界遺産委員会の審議では、全8件で登録されてこそ世界遺産としての価値があるという委員国からの意見が相次ぎ、協議の結果、日本が申請していた全8件すべての資産が認められ登録となりました。
沖ノ島は、4世紀後半から9世紀末までの500年間にわたって航海の安全を祈る国家的祭祀が行われた場所で、神宿る島として人々から崇拝されてきました。島全体が御神体とされ、女人禁制など当時の伝統が現在でも受け継がれています。また、島内からは、中国や朝鮮半島、遠くはペルシャから渡ってきた金製指輪やカットガラス碗など貴重な品々が発見されており、それらは、奈良の正倉院や伊勢神宮の宝物にも勝るとも劣らない品々であることから「海の正倉院」とも呼ばれています。
なお、世界遺産登録後も沖ノ島へ行くことはできません。沖ノ島を見るためには、同じく世界遺産となった宗像大社沖津宮遙拝所から遠く離れた沖ノ島を拝むことができます。
世界遺産に登録されれば、観光のため訪れることができると思われた方もいるかもしれません。しかし、沖ノ島は、世界遺産登録後も脈々と受け継がれた歴史、伝統を守るため、変わらず渡島禁止です。本来、世界遺産は、保護・保全、そして後世に受け継ぐためのものです。これが、本来の世界遺産の姿かもしれませんね・・・。
構成資産
沖ノ島(宗像大社沖津宮)
宗像大社沖津宮(むなかたたいしゃおきつみや)は島全体が宗像大社を構成する三宮の1つで、宗像三女神の田心姫神(たごりひめのかみ)が祀られています。4世紀後半~9世紀にかけて航海の安全を願う祭祀が行われました。出土した約8万点の奉献品はすべて国宝に指定されています。
小屋島
御門柱
天狗岩
宗像大社(沖津宮遙拝所)
宗像大社沖津宮遙拝所(むなかたたいしゃおきつみやようはいしょ)は大島の北岸にあり、「神宿る島」として立ち入りが制限されている沖ノ島を拝むための場所。
宗像大社(中津宮)
宗像大社中津宮(むなかたたいしゃなかつみや)は宗像大社の構成する三宮の1つ。大島の御獄山の麓に宗像三女神の湍津姫神(たぎつひめのかみ)が祀られています。
宗像大社(辺津宮)
宗像大社辺津宮(むなかたたいしゃへつみや)は宗像大社の構成する三宮の1つ。宗像三女神の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)が祀られています。
新原・奴山古墳群
新原・奴山古墳群(しんばる・ぬやまこふんぐん)は沖ノ島祭祀を担い、沖ノ島に対する信仰を宗像三女神信仰へ発展させた古代豪族宗像氏の古墳群です。