小笠原諸島は東京都小笠原村に属し、東京の南約1000㎞の場所にある島々です。独特の生態系を持っており、「東洋のガラパゴス」とも呼ばれます。また、海の色が小笠原諸島周辺でしか見られない独特の青で、「ボニンブルー」といわれています。
小笠原諸島は2011年に世界遺産として認定されました。登録地域は、小笠原群島の陸域(ただし父島及び母島の一部を除く)・火山列島(北硫黄島と南硫黄島)の陸域・孤立島(西之島)の陸域・父島周辺海域の一部となっており、その面積は 7,939haにもなります。
小笠原諸島の歴史
小笠原諸島が正式に歴史の記録に登場するのは、1670年のことです。紀州を出港した船が母島に漂着し、下田奉行所経由で江戸幕府に報告されました。
そのため1675年に調査が行われ、このとき「無人(ぶにん)島」と名付けられました。小笠原諸島の英語名が「Bonin Islands」というのは、この「ぶにん」が訛って「ボニン」となったためです。
以後、外国船の寄港や漂着が続き、1862年には幕府が測量を行います。そして、日本に駐在する各国の代表に、小笠原諸島の領有権を通告したのです。
第2次世界大戦後はアメリカ海軍の占領下におかれますが、1968年に返還されました。
小笠原諸島とは
小笠原諸島は、4つに分けられます。聟島(むこじま)・父島・母島と火山列島(硫黄列島・沖ノ鳥島・南鳥島・西之島)となります。大小30余りの島から形成されていますが、人が住んでいるのは父島と母島だけです。
小笠原諸島は火山活動によって生まれ、4800万年前から数百万年にわたって形成されてきました。
父島
父島誕生の時に「ボニナイト」という岩が生まれました。島の誕生期のみ発生する特殊な安山岩で、この名前も小笠原諸島の英語名「Bonin Islands」からきています。
父島の千尋岩には、200mの断崖絶壁が見られ、これを「海食崖」といいます。千尋岩には旧日本軍の防空壕などが残されています。
また、海底火山の噴火によってできた「枕状溶岩」が見られます。
母島
母島で有名なのは、隆起カルスト地形である石門です。鍾乳洞もあり、母島固有の種などが見られます。また、大型有孔虫の化石である「貨幣石」も見られます。
南島
南島は、カルスト地形が海に沈んだ沈水カルスト地形で、すり鉢状のくぼ地の「ドリーネ」や、「ラピエ」という尖った岩が見られます。
独特の生態系
小笠原諸島はかつてどの島や大陸とも地続きになったことがないため、生態系が特殊です。日本本土に見られない種をここでは見ることができます。
しかし近年は外来種の持ち込みにより、この生態系がおびやかされていることが問題となっています。
小笠原諸島を訪れるなら、イルカやクジラを見るツアーがオススメです。アオウミガメの産卵の時期にぶつかると、感動的なシーンを見られるかもしれませんよ。
日本本土とはかけ離れた風景とボニン・ブルーに、心癒されること請け合いです!
小笠原諸島の絶滅危惧種
小笠原諸島では、開発によって多くの固有種が絶滅し、同時に多くの鳥類や植物、昆虫類が絶滅の危機に瀕しています。
かつて父島、母島に多く生息していたオガサワラオオコウモリは駆除されたために激減し、数十~100頭あまりしか生息していません。
クロウミツバメは、世界でも南硫黄島でしか確認されていませんが、自然環境の変化による影響が心配されています。
また昆虫類についても、小笠原諸島に固有のトンボ5種類は弟島に生息が確認されているだけです。
オガサワラツツジは自然株が1株のみとなってしまい、コバノトベラは数株にまで減少してしまっています。特に、メグロ、シマアカネ、カタマイマイ、オガサワラオオコウモリは、「国際自然保護連合」(ICUN)の「レッドリスト」(2008年)に記載されており、保護が望まれています。