ノール=パ・ド・カレーの鉱業盆地
ノール=パ・ド・カレーの鉱業盆地はベルギーと国境を接するフランス北部、ノール=パ・ド・カレー地域圏にある、北西ヨーロッパの中でドイツのルール鉱脈につぐ大きな規模を誇る鉱脈と、工業都市から構成される世界遺産です。
石炭の採掘のみで発展した大規模な工業地帯が世界遺産として認められるのは極めてまれなこと。西岸海洋性気候に属しフランス国内でも有数の日照時間と平均した降水量に恵まれるこの地域は古くから農業が盛んでしたが、全長120キロメートル、幅12キロメートル、深さ1.2キロメートルにわたる広範囲な鉱脈が発見されて以後、約3世紀わたる石炭の産出が多くの富をこの地域にもたらし、鉱脈を掘るための穴や立坑、ぼた山などの石炭文化に特徴的な景観をつくりだしました。
産業化の開発史は人間の歴史。ノール=パ・ド・カレーでは古くからの農本の風景を損なうことなく、鋼材を輸送するための鉄道施設などの技術的要素が加わった鉱山の特徴たる風景が融合した、独創的な景観を見ることができます。