| 名称 | ニース:リヴィエラの冬季リゾート都市 |
|---|---|
| 国 |
フランス |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
ニース:リヴィエラの冬季リゾート都市
2021年に開催された第44回世界遺産委員会拡大会合において、フランスの「ニース:リヴィエラの冬季リゾート都市」が世界文化遺産として登録されました。
「ニース:リヴィエラの冬季リゾート都市(保養都市)」は、フランス南東部、地中海に面したリヴィエラ地方に位置するニースの都市景観と建築を対象とした世界文化遺産です。
リヴィエラとは、フランス南東部からイタリア北西部にかけての地中海沿岸地域を指す名称で、温暖な気候と美しい海岸景観から、古くから保養地や観光地として発展してきました。アルプスに近く、地中海の温暖な気候に恵まれたニースは、18世紀半ばから主にイギリスの貴族や上流階級の人々が冬を過ごす保養地として発展しました。
1832年には当時サルデーニャ王国の領土だったニースで装飾評議会が設置され、外国人を惹きつけるための都市計画や建築基準が整えられました。こうした都市整備の中で、1824年にイギリス人の冬季滞在者が海岸沿いにつくった小道は、現在の有名な「プロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の散歩道)」へと発展しました。1860年にニースがフランスに割譲され、さらにヨーロッパの鉄道網と接続すると、冬季滞在者はヨーロッパ各地から集まるようになり、旧市街の外側へ新しい市街地が次々と形成されました。
世界遺産として評価されているのは、単に歴史的な建物が残っているからではありません。外国人観光客のために都市そのものが計画的につくられ、その過程でさまざまな文化や建築様式が融合したことが重要な特徴です。特に19世紀のニースには、イギリス、イタリア、フランス、ロシアなどから人々が集まり、それぞれの建築文化が持ち込まれました。
また、建物だけでなく、海と山に挟まれた地形を生かした都市構造も重要です。南北方向の道路と、それに直交する道路による街路網は、建物に日光を取り込みやすくするとともに、海や丘陵への眺望を確保するよう計画されています。公園や庭園には、温暖な気候を生かして外来植物も取り入れられました。ホテル、別荘、季節滞在用の集合住宅など、外国人の長期滞在を想定した建築がまとまって残っている点も特徴です。
プロムナード・デ・ザングレ

ニースの歴史を象徴する場所として、現在も多くの観光客が歩く「プロムナード・デ・ザングレ」があります。もともとはイギリス人の冬季滞在者がつくった海岸沿いの小道でしたが、都市の発展とともに整備され、ニースを代表する大通りへと成長しました。世界遺産の登録範囲には、この海岸景観だけでなく、19世紀から1930年代にかけて形成された市街地も含まれています。
この世界遺産は「有名な海岸道路」だけを見るのではなく、冬を過ごすために世界各地から人が集まり、その需要に合わせて都市そのものが変化していった過程を見る遺産といえます。