モルダヴィアの教会群
ルーマニアのスチャヴァ県には、モルドバ公国時代に建てられた聖堂群が残されており、これらはモルダヴィアの教会群として世界遺産に認定されています。この聖堂群が世界遺産として最初に登録されたのは、1993年のことです。
1993年の時点で、世界遺産として認定されたのは、アルボーレの「前駆授洗イオアン斬首教会」やフモールの「生神女就寝教会」、モドルヴィツァの「生神女福音教会」等を含む7つの教会でした。その後、2010年になって、「復活教会」も世界遺産に追加登録されたため、現在では、計8つの聖堂が、モルダヴィアの教会群として認定されています。
モルダヴィアの教会群は、モルドバ公国が、オスマン帝国による侵攻の脅威にさらされていた時代に建てられたもので、一説では、同帝国との争いに勝利すると、それを記念して、毎回、各聖堂が造られてきたと言われています。
同聖堂群を特徴づけるものは、外壁に残されているフレスコ画です。ここには、聖書や、オスマン帝国との戦いに関する内容が描かれていると言われています。このフレスコ画は、当時のモルドバ公国が置かれていた厳しい時代における、同国の人々の精神的な支えであり続けたと同時に、聖書の内容を分かりやすく伝えると言う目的もあったと言われています。