ミジケンダのカヤの聖なる森林群
アフリカ・ケニアにあるミジケンダのカヤの聖なる森林群は、2008年にユネスコの世界遺産に登録されました。「9つの町々」の意味であるミジケンダは、ケニア海岸部の9つのエスニック・グループの総称です。歴史的には、これらのエスニック・グループは「低木地の人々」を意味するスワヒリ語でワ・ニイカと呼ばれてきましたが、1940年代以降に彼ら自身の意識の高まりからミジケンダを名乗るようになりました。
カヤは、ケニア海岸部の後背地にあたる山間に築かれていた要塞化した村落のことです。かつてミジケンダ諸民族にとって文化的・生活的に重要な拠点だった場所であり、ミジケンダの起源伝承とも結びついていました。
カヤは円形の村落で、それを外円状の森林が取り囲んでいる形になります。カヤの中央部には宗教上の重要な意味を持つ呪物が埋められており、その周囲に住居や集会場が展開しています。周囲の森林は外に繋がる2本の道を除けば人の手がはいらない原生林で、祖先の霊などが出現することもある聖なる(もしくは呪われた)森林と考えられており、材木の切り出しなどは認められていませんでした。