マハーバリプラムの建造物群
マハーバリプラムの建造物群はインド南部のタミル・ナードゥ州カーンチプラム県ある、ベンガル湾に臨むかつての港湾都市に散在する数多くの寺院や彫刻から構成される世界遺産です。6世紀以降マハーバリプラムは東西貿易の拠点として発展し、街には多くのヒンドゥー教寺院が建立されただけでなく、商人によって様々な近隣諸国に建築様式や彫刻技能が伝えられ、文化交流の拠点となった街。
パッラヴァ朝のマーマッラ王やその後裔がマハーバリプラムに建設した花崗岩の岩山を掘削した石窟寺院や牧歌的な趣きのある岩壁彫刻、最初期の石造寺院である石積みの「海岸寺院」は、インド中世建築の研究をするうえで極めて重要な位置を占めており、特に当時の木造寺院を模して壁面にライオンや象などが刻まれた「5つのラタ」と呼ばれる一連の石彫寺院は、特異な遺跡として世界的にも良く知られています。
マハーバリプラムの建造物群では、石窟を中心とする古代から石造を主とする中世への建築史上の変遷が目のあたりにでき、この地域が南インドのヒンドゥー建築を主導していた史実を垣間見ることができます。