マフラの王家の建物:宮殿、バシリカ、修道院、セルク庭園、狩猟公園(タパダ)

基本情報
名称 マフラの王家の建物:宮殿、バシリカ、修道院、セルク庭園、狩猟公園(タパダ)
ポルトガル
登録区分 世界文化遺産
登録年

2019年

2019年アゼルバイジャンの首都バクーで開催された第43回世界遺産委員会において、ポルトガルの「マフラの王家の建物:宮殿、バシリカ、修道院、セルク庭園、狩猟公園(タパダ)」が世界文化遺産として登録されました。

マフラの王家の建物

「マフラの王家の建物:宮殿、バシリカ、修道院、セルク庭園、狩猟公園(タパダ)」は、ポルトガルの首都リスボンから北西へ約30km離れた街マフラに位置する、18世紀バロック様式の大規模な建築群です。

ポルトガル国王ジョアン5世によって1711年に発案され、絶対王政の権力と広大なポルトガル帝国の富を象徴する一大プロジェクトとして建設されました。ローマやイタリアのバロック建築・美術の様式が積極的に取り入れられており、イタリア国外におけるバロック様式の傑作の一つとされています。

主な構成要素

  • 王宮
    王と妃それぞれの部屋として機能した、建物両端の2つの塔を含む広大な宮殿
  • 聖堂(バジリカ)
    ローマのバロック様式を模した中央聖堂で、58体の彫刻やフランス・イタリア製の聖職者衣装が備えられた空間
  • 修道院と図書館
    フランシスコ会の修道院と、15世紀から19th世紀にわたる貴重な手稿や禁止図書などを含む約3万6,000冊の蔵書を誇る図書館。この図書館では、日中の昆虫による蔵書の被害を防ぐため、夜間になると館内で飼育されているコウモリたちが放たれ、本を傷つける虫を捕食するという伝統的な保全方法が現在も受け継がれています。
  • カリヨンとパイプオルガン
    フランドル(現在のベルギー周辺)から取り寄せられた2組のカリヨン(組み鐘)と、同時に演奏できるよう設計された6台の歴史的なパイプオルガン
  • セルコ庭園
    広さは東京ドーム約2個分(約8〜9ヘクタール)に相当し、幾何学的に配置された植栽や中央の池、かつて修道士がプレイした球技場などを備えた庭園
  • 狩猟園(タパダ)
    王家の狩猟場や農牧業の拠点として造られたエリアで、広さは東京ドーム約250個分以上(約1,200ヘクタール)に及ぶ広大な敷地

このマフラの巨大建造物群の建設には、当時ポルトガルの植民地であったブラジルからもたらされた大量の金(ゴールド)が投じられました。一時は毎日何千人もの労働者が工事に従事し、その大規模な建設作業を通じて多くの建築技術や彫刻技術が養われました。ここで培われた技術や職人たちのノウハウは、1755年に起きたリスボン大地震後の首都復興作業において非常に大きな役割を果たしたとされています。


同じくポルトガル国内にある世界遺産リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔が、16世紀の大航海時代における大航海者たちの栄華(マヌエル様式)を伝えているのに対し、マフラの建造物群は18世紀の絶対王政期における帝国の黄金期を鮮明に映し出しています。どちらもポルトガル史の最盛期を現代に伝える重要な文化遺産として、世界中から多くの人々が訪れています。

マフラは同じポルトガルの世界遺産であるブラガのボン・ジェズス・ド・モンテ聖域とも興味深い対比ができます。どちらも18世紀のポルトガルで発展したバロック文化を伝えていますが、ボン・ジェズスが山の斜面に階段や礼拝堂を配置して「信仰を歩いて体験する景観」をつくったのに対し、マフラでは王宮・修道院・教会・庭園・狩猟公園を巨大な一つの領域にまとめ、「王権の力と富を空間全体で示す景観」をつくりました。2019年にはこの2つがそろって世界遺産に登録され、18世紀ポルトガルの宗教文化と王権文化をそれぞれ象徴する存在となっています。

この世界遺産のデータ・地図(場所)

名称マフラの王家の建物:宮殿、バシリカ、修道院、セルク庭園、狩猟公園(タパダ)
ポルトガル
登録区分 世界文化遺産
登録年

2019年

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