「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」は、ポルトガルの首都であるリスボンに残されている建造物群です。これら二つの世界遺産は、リスボンの中でも、レステロ旧港が所在を置いているベレン地区に位置しています。
ポルトガルと言えば、かつて「大航海時代」に栄華を極めたことで有名ですが、同地区は、その時代について語る上で欠かせない、重要な場所となっています。
リスボンのジェロニモス修道院
1502年、マヌエル1世はインド航海路を切り開いたエンリケ航海王子とヴァスコ・ダ・ガマの偉業を讃え、また新天地開拓へと繰り出していく航海の安全を祈願して、ベレンにジェロニモス修道院の建設を開始しました。
東方交易で得た潤沢な資金を惜しげもなくつぎ込んだマヌエル様式の建物は、1551年には修道院内の聖堂や回廊、修道士の寝室周辺など、主要部分の完成をみますが、工事完了までには着工から約1世紀の時を要しました。
リスボンのベレンの塔
ジェロニモス修道院からさらに1kmほど河口に下った水際にたたずむ、優美な建造物がベレンの塔です。その気品ある姿を司馬遼太郎は「テージョ川の公女」と呼びましたが、 もとはテージョ川を行き交う船を監視 し、河口を守る要塞としてマヌエル1 世が建設を命じたものでした。