麗江旧市街(れいこうきゅうしがい)は中国の雲南省麗江市にある、少数民族ナシ(納西)族が造った街です。風光明媚で、独特の瓦屋根の景観で知られています。中国の街は城壁が設けられているのが一般的ですが、ここには城壁はありません。
麗江旧市街は1997年、世界遺産に登録されました。
麗江旧市街の歴史
麗江旧市街を建設したナシ族は、8世紀頃青海省付近から南下してきた民族です。唐により六詔のひとつ蒙舎詔(もうしゃしょう)に編入されました。現在の街は、12世紀に造られたと言われています。
ナシ族は、チベット族や他の少数民族、漢民族との関係を良好に保ち、そのため約800年もの間、ここは戦乱と無縁でいることができました。
そのことも、旧市街の景観を現在まで保ち続けることができた理由のひとつです。
麗江旧市街の様子
麗江旧市街の特徴は、街一面に広がる濃い灰色の瓦屋根です。「かわらの海」と呼ばれることもあるほどです。この全景は、獅子山の頂にある万古楼から一望できます。高さ33mある5層の建物です。
旧市街の中心部は四方街と呼ばれ、そこから石畳の道が張り巡らされ、水路も走っています。橋が多く、354の石橋がかかっているそうです。
麗江旧市街の建築物はほとんどが木造で、仏教や道教の仏像もあり、少数民族によって書かれた麗江壁画が残っています。麗江旧市街にはムー氏による城も残っていましたが1996年に起きた地震で崩壊してしまいました。
三眼井
玉龍雪山からの水が黒龍潭という池で湧き、水路や三眼井という井戸に供給されています。三眼井は3つに区切られており、上流は飲料水に使用し、中流は野菜を洗ったりし、下流で洗濯をするようになっています。
トンパ教とトンパ文字
旧市街では、象形文字のような不思議なものを見かけます。これはトンパ文字というもので、理解できる人は限られていますが、現在も使用されている唯一の象形文字です。
ナシ族の人々は、トンパ教という土着の民族信仰とチベット仏教が合わさった宗教を信仰しています。トンパ文字は、トンパ教の教義を書き留めておくために使用されています。
麗江旧市街では、ぶらぶらと散策するのがいちばんの楽しみ方です。ナシ族の人々の生活の様子や民族衣装など、すべてが新鮮に映るはずです。
漢民族よりもはるかにナシ族の人たちが多いので、一般的な中国のイメージとはまた違ったものを見ることができますよ。