ヒンドゥー教の聖地パラナーシの西方に位置する、芸術的価値の高い彫刻を伴うヒンドゥー教及びジャイナ教の寺院群です。85ヶ所あった寺院は、イスラム教徒によって破壊され、現在は25ヶ所になっています。
1986年、インドの世界遺産に登録されました。
愛に満ちた世界遺産「カジュラーホの建造物群」
首都デリーから南東に620kmの位置にあるマディヤ・プラデーシュ州の小都市カジュラーホにある、寺院の壁面にある無数の浮き彫り装飾が有名な寺院群です。
全てが細かく隙間ないほどの彫刻は、一つとして同じものはなく、動物やアプサラ(天女)、そしてミトゥナ(男女交合)が装飾されています。この彫刻達には北条奇岩などの意味が込められているようですが、過激すぎる彫刻群を見るとエロティックを超過しておおらかさを感じます。
10~13世紀にガンジス川中流域で栄えていたチャンデッラ王朝のもとに建造された寺院群。王朝の最盛期950~1050年にかけて石積み寺院が造営されていました。これらは金で覆われていたともいわれています。
13世紀には王国はイスラム勢力に脅かされるようになり、14世紀には全土を侵略されてしまいました。これにより、偶像崇拝を否定するイスラム教によって、寺院の彫刻の大部分が破壊されてしまいました。
これ以降ここは廃都となり約5世紀の間ジャングルと化し眠り続けました。19世紀初頭になりやっと発見されました。
3ヶ所に分かれたカジュラーホの建造物群
カジュラーホの寺院は西群、東群、南群の3つに分かれています。
西群
ラクシュマナ寺院、ヴィシュヴァナータ寺院、カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院、デーヴィー・ジャグダンベ寺院、マハーデーヴァ寺院、チトラグプラ寺院、パールヴァティー寺院、ナンディー堂、ヴァラーハ寺院、ラクシュマナ寺院、マタンゲーシュワラ寺院。
全てヒンドゥー教の寺院です。
東群
パールシュバナータ寺院、ガンタイー寺院、シャーンティナータ寺院、アーディナータ寺院などがジャイナ教寺院。
ハヌマーン寺院、ブラフマー寺院、ヴァーマナ寺院、ジャヴァーリー寺院などがヒンドゥー教寺院です。
南群
ドゥラーデーオ寺院、チャトゥルプジャ寺院など全てヒンドゥー教寺院です。
最も大きいのが西郡。いずれもインド・アーリアン建築で、下から眺めるというより山のように見えるのが特徴です。東群に行ってジャイナ教寺院とヒンドゥー教寺院を比べてみるのも楽しみ方のひとつです。個々に違った特徴があるので、ゆっくりとみて回りたいスポットです。
「カジュラーホの建造物群」のまとめ
寺院といえば堅い宗教イメージを思い起こしますが、ミトゥナ像のエロティックな彫刻には、訪れた誰もが驚きを隠せないほどです。
中世インドでは寺院建築には、北方型と南方型の2つの形態があり、カジュラーホは砲弾を建てたような形の典型的な北方型です。古代北インドの代表作ともいえる寺院建築美も存分に味わうことができます。
クオリティの高い繊細な彫刻を見に、ぜひ、訪れてみて下さい。