カザンラクのトラキア人の墳墓
トラキア人は、紀元前に栄華を誇った民族であると考えられていますが、現在でも多くの謎を我々に残していることで知られています。ブルガリアの都市「カザンラク」には、そのように、神秘に包まれている民族であるトラキア人によって建造されたと推測されている古墳が残されています。この古墳は、「カザンラクのトラキア人の墳墓」として、1979年に世界遺産として登録されました。
カザンラクのトラキア人の墳墓は、紀元前4世紀頃に造られたものではないかと推測されていて、その目的は、当時の王と王妃を葬るためであったと言われています。
古墳内部には、先述した、王と王妃を中心にした、「告別」をモチーフにしていると考えられている光景が描かれた壁画が残されています。この壁画の歴史的な価値は言うまでもありませんが、そこに留まらず、当時の芸術として捉えても、トラキア人による作品の中で、傑出したものであると考えられています。