カトマンズ盆地はカトマンズ渓谷とも呼ばれるネパール最大の盆地です。ヒマヤラ山脈に位置し、首都の『カトマンズ』、『パタン』、『バクタプル』の3つの市で成り立っています。
カトマンズ盆地はもともと湖で、肥沃な、そして緑豊かな土地です。カトマンズ盆地は、チベットとインドを結ぶ交易の中継点です。仏教やヒンドゥー教の聖地となり、多くの寺院や聖堂、彫刻といった宗教芸術が花開いた場所でもあります。
標高が平均して約1,300mという高さにあるにもかかわらず、緯度が沖縄とほぼ同じなので、年中温暖な気候にも恵まれています。
2015年4月25日に発生したマグニチュード(M)7.8の地震では、ここの世界遺産も深刻で壊滅的な被害を受けました。
カトマンズ盆地の3つの市
ネパールの世界遺産「カトマンズ盆地」にはカトマンズ・バクタプル・パタンという3つの市があります。それぞれの市にダルバール広場という広場があるのが特徴的です。
カトマンズ
カトマンズは人口約170万人を抱えるネパールの首都です。マッラ王国時代には宮廷や寺院が多く建てられました。
市の中心、ダルバール広場には王宮もあり、今でも王族の戴冠式や即位式が行われます。
バクタプル
バクタプルはアナンダ・デヴ王によって889年に築かれ、12世紀~18世紀の間、首都のひとつとして栄えました。別名「バドガオン」(信仰の街)とも呼ばれています。
田園地帯の小高い丘の上に位置しており、人口30万人ほどの小さな街です。人口の約8割がネワール人です。
ネワール彫刻の傑作「孔雀の窓」
ここは中世の町並みが残っていて、ネワール彫刻の傑作と言われる「孔雀の窓」など、ネワール族の建築物や彫刻を見ることができます。
パタン
カトマンズの南にあるパタンには45万人ほどが住んでおり、その人口の8割はネワール族です。マッラ王国の時代は首都でした。
別名を「ラリトプル」(美の都)と呼べれているほど、美しい街です。家々には精巧な彫刻がほどこされています。ここにはアショカ王が建てたと言われる、仏教寺院も残っています。
ネワール族について
カトマンズ盆地の先住民、ネワール族は、現在では人口の4.5%を占めるに過ぎませんが、12世紀から18世紀にかけてマッラ王朝を築き、都市文化を発展させました。
そこではヒンズー教と仏教が混合する、独特な宗教文化が育ち、多くの精巧な彫刻や建築物を残しました。ネワール族の木彫技術や金属工芸は目を見張るものがあり、アジアの国々に影響を及ぼしました。
生き神クマリの信仰
また、ネワール族は独特な宗教的儀式や祭りも作り上げました。その一つが、クマリと呼ばれる生き神です。町ごとに少女を選び、クマリと呼んで崇めます。クマリは未来を予知する能力があり、病を治し願い事を叶えるとされています。
少女は数年間、祭事以外は外出をすることができず、神として生きることになります。