宗廟(チョンミョ)は、韓国のソウル特別市にある朝鮮王朝と大韓帝国皇室の歴代の国王・王妃・功臣の位牌を祀っている祭祀場です。宗廟は慶州の石窟庵・仏国寺、海印寺蔵経板殿とともに1995年、韓国の文化財の中では一番に世界文化遺産となりました。
宗廟の歴史
宗廟は1394年に太祖・李成桂(イ・ソンゲ)が建築に着手し、翌年に完成しました。
1592年の文禄の役の際、日本の豊臣秀吉の軍がソウルを占領したときに破壊されてしまいますが、1608年に再建されました。
現在は、大韓帝国皇室の末裔である全州李氏の宗家が祭祀を取り仕切っています。毎年5月の「宗廟祭礼祭」には、全州李氏の一族が集まります。
宗廟の主な建築物
宗廟は儒教思想に基づいて造られており、神聖な場所として崇められてきました。位牌の数が増えると増築したために、東西に延びていく独特の形式となっています。同時代の単一木造建築としては、世界でも最大級だといわれています。
三道(サムロ):神路(シンロ)・御路(オロ)・世子路(セジャロ)
外大門から入ると、前に広がっている道です。中央と左右に石が敷かれています。
中央は左右より少し高くなっていますが、これは神のための道(神路)であるためです。また、右(東)側は王が通る道(御路)、左(西)側は皇太子が通る道(世子路)とされています。
正殿(チョンジョン)
宗廟の中心となる場所で、最も西側を上座とし、太祖を安置しています。加えて、道徳にかなった政務を行ったといわれる19人の王とその王妃の位牌49位を安置しています。
長さが東西で101mにも及びます。板門の表面には隙間がありますが、これは、魂が出入りするためのものであると同時に、湿度調節を兼ねています。
永寧殿(ヨンニョンジョン)
1421年、第2代定宗の位牌を祀るために建てられました。ここには、没後に位を贈られたりした王やその王妃の位牌34位が祀られています。正殿よりは少し小さめです。
楽工庁(アッコンチョン)
正殿と永寧殿それぞれにありますが、現在は柱のみとなっています。
「宗廟大祭」において、演奏や舞踊を披露する楽士たちが練習をしたり待機したりする場所でした。
位牌を祀る場所ということで、派手さはありませんが、厳粛な雰囲気が漂っておりここが神聖な場所だということを感じることができます。無料の日本語ガイドがいらっしゃるそうなので、ぜひここでは解説を聞いていただきたいと思います!