ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群
ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群は、チリ北部にある硝石(チリ硝石)精錬所群の遺跡です。これらは2005年に世界遺産に登録されると同時に、建物が脆弱な木造であるという構造上の問題や地震の影響などから危機遺産にも登録されました。
ハンバーストーンとサンタ・ラウラは、チリ北部のタラパカ地方、アタカマ砂漠にある町イキケの東方48kmに位置しています。
この一帯は硝石が産出するため、19世紀後半から多くの硝石工場が建設され、200以上の硝石工場が出現しました。硝石は火薬や化学肥料の原料になる重要な鉱物資源で、アメリカからヨーロッパまで世界中に輸出されることになりました。
そして町は好景気で賑わい、ヨーロッパ風の洒落た建物が建ち並ぶことになりますが、20世紀初頭に合成硝酸が登場すると勢いは衰え、1950年代半ばに鉱山が閉鎖、人々は町を去っていきゴーストタウンとなってしまいました。
チャカブコの硝石工場はピノチェト政権下で強制収容所として使われたという特殊なケースであり、今なお未撤去の地雷が周囲には埋設されたままです。グイジェルモ・ヴェンデル硝酸塩抽出会社は、1872年に当時ペルー領だったサンタ・ラウラに硝石工場群を建てました。
危機遺産リストから除外へ
2005年から危機遺産リストに登録されていた「ハンバーストーンとサンタ・ラウラの硝石工場群」ですが、2019年の第43回世界遺産委員会においてリストから除外されました。