| 名称 | ハウラマン/ウラマナトの文化的景観 |
|---|---|
| 国 |
イラン |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
ハウラマン/ウラマナトの文化的景観
2021年に開催された第44回世界遺産委員会拡大会合において、イランの「ハウラマン/ウラマナトの文化的景観」が世界文化遺産として登録されました。
イラン西部のザグロス山脈奥深くに位置するハウラマン/ウラマナトには、紀元前3000年頃からこの地に暮らす先住民族「ハウラミ族」が、急峻な山岳地帯の大自然と調和しながら育んできた独自の暮らしと伝統文化が残されています。
この地域はイランのクルディスタン州とケルマンシャー州にまたがっており、主に中央・東部の谷(ジャーヴェルードとタクト)と西部の谷(ラフーン)という2つの地域から構成されています。
特に目を引くのが、山の斜面そのものを利用した集落です。平地が少ないため、住宅や公共空間、庭園などが斜面に沿って段々に配置されています。建物の屋根が、上の家から見るとそのまま通路や公共空間として利用されるような場所もあり、村全体が斜面に組み込まれたような構造になっています。これは単なる景観上の特徴ではなく、限られた土地を最大限に利用するために何世代にもわたって培われた建築・都市計画の知識の結果です。
ハウラマン地方の建築で特にユニークなのは、「コンクリートやモルタルなどの接合剤を一切使わず、石を緻密に積み上げる(ドライストーン方式)」という伝統技法です。地震の多い山岳地帯でありながら、石同士の噛み合わせと木製の補強材を組み合わせることで優れた耐震性を備えており、何世代にもわたって住み継がれてきました。
このような「厳しい山岳環境への適応」という点では、イラン北西部のアルダビールのシャイフ・サフィーアッディーン廟の歴史的建造物のような歴史的建築中心の世界遺産とは性格が大きく異なります。
一方、山の斜面に段々畑や集落を築き、人々の生活と自然環境を一体として残しているという点では、フィリピン・コルディリェーラの棚田群などの文化的景観と比較すると分かりやすいでしょう。
ハウラマン/ウラマナトの場合は、農業景観だけでなく、半遊牧の生活、季節移動、山岳集落、伝統的な知識や祭礼まで含めて一つの文化的景観として評価されている点に大きな特徴があります。