ハトラ
イランの世界遺産であるハトラとはイラク北部のモースル州の南西約100km、サルサル・ワジ川のほとりの砂漠地帯に残る歴史的な都市遺跡のことです。別名を「神の家」といい、パルティア帝国の重要な要塞都市で、ローマ帝国の度重なる攻撃にさらされました。
20世紀初めに砂の中に眠っていたハトラを発掘を開始したのは、ドイツ隊でした。その時、発掘隊を驚かせたのは、ギリシア式の神殿と西アジア様式の神殿が同時に見つかったことでした。
神殿の彫刻も多彩で、ギリシアの神々や、遊牧民の王、更に、古代メソポタミアのモチーフまで多彩な発見がありました。ここでは、地中海からアジアに至るありとあらゆる神々が信仰されていたということがわかったのです。
それらはお互いに影響を与えながら、ハトラ独特の造形を作り出していました。
ハトラの二重構造の城壁の外側の壁は、東西1.9km、南北2kmにわたる直径2kmのほぼ円形で、粘土質のブロックが組み上げられて構成されています。
ハトラ、危機遺産リストに追加
2015年ドイツのボンで開催された第39回世界遺産委員会において、過激派組織IS=イスラミックステートが、石像などを破壊したとする映像をネット上に投稿し、各国が危機感を募らせているため、ハトラは「危機遺産リスト」に追加されました。