「ハンピの建造物群」は、インド・ムンバイの南東にあります。かつてはヒンドゥー教のヴィジャヤナガル王国が築いた王都でした。19986年、世界遺産に登録されました。
1999年、危機遺産リストに登録されましたが、2006年にリストから外れました。遺跡の広大さゆえに、鉄橋を建設してそこから見学しようという計画が成されたのですが、それが開発破壊に当たるとみなされてしまったためです。
ハンピの建造物群の歴史
14世紀に、ヒンドゥー教のヴィジャヤナガル王国がここを王都と定めました。多くの宮殿やヒンドゥー教寺院が造られ、隆盛をきわめます。
しかし、1565年のターリコータの戦いで、ムスリム5王国連合軍に敗れてしまいます。王都は略奪を受け廃墟と化し、王国は遷都を余儀なくされました。
現在は40ほどの遺跡が残されています。人々が生活する中に遺跡があり、自然と一体化しています。
ハンピの建造物群の見どころ
ハンピの建造物群は非常に広く、素晴らしい建造物があちこちにあります。
ヴィルパークシャ寺院
ヘークマータの丘にある寺院で、今でも現役の寺院です。白い塔門がシンボルで、約50mの高さがあります。パールヴァティー神がヴィマーナ(本堂)に収められ、地域の守り神ハンパーと同一視されています。美しい彫刻群に目を見張ります。
ヴィッタラ寺院
16世紀にクリシュナ・デーヴァラーヤ王によって建てられました。ヴィジャヤナガル様式の最高傑作といわれています。
マンダパ(礼拝堂)には56の石柱があり、1本の柱を彫り込んで何本もの柱に見せたりしています。
ガルーダ堂
お堂に車輪がついており、山車のような外観です。これは「ラタ」という、南インドに見られるドラヴィダ様式の一種です。ガルーダとは、ヴィシュヌ神の乗り物です。
ロータス・マハル
石造りの多層屋根の建物で、アラベスクの装飾が見られます。このため、イスラム教の影響があったと考えられます。
エレファント・ステイプル(象舎)
象を飼育していた建物です。当時、象は兵力や労働力として非常に大きな存在でした。
階段池
5層の階段構造になっており、それぞれの層にピラミッド様の階段が設けられています。特異な外観で、存在感を放っています。
ハザーララーマ寺院
別名ラーマチャンドラ寺院と呼ばれ、15世紀にデーヴァラーヤ1世によって建てられました。ヒンドゥー教の叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公ラーマ王子を祀っています。
サルたちが遺跡内に生息していて、のんびりと毛づくろいしていたりする様子が見られたり、ウシが歩いていたりと、世界遺産でありながら生活の中に溶け込んでいることが感じられます。優しく見守ってあげてくださいね。
[…] 出典ハンピの建造物群|インド|世界遺産オンラインガイド […]