ハル・サフリエニの地下墳墓
ハル・サフリエニの地下墳墓は、地中海に浮かぶマルタ島のパオラで発見された、紀元前2500年頃に遡る地下構造物です。本来は宗教上の聖域として作られたと考えられていますが、先史時代の内に共同地下納骨堂に転用されました。1980年に世界遺産に登録されています。
これは世界で唯一の先史時代の地下墳墓となっています。この遺跡は新しい住宅開発のために貯水槽を切削していた労働者が、遺跡の屋根を突き抜いてしまったため、1902年に偶然発見されました。
最も深いところにある石室は地表から約11mの深さにあって、石室は複雑な迷路と階段でつながっています。侵入者を転落させる仕掛けも用意されていて驚きです。礼拝室と推定される部屋の壁は、祭司の声のみが響くように工夫されています。
三階層に分かれる内部の構造は、第一階層が自然の洞窟をもとにして人工的に拡張されたもので、第二階層からは石造建築の白眉といえる技術が伺えます。第三階層からは人骨が見つかっていないため、この階層が穀類か何かの貯蔵庫だったと考えられています。