エローラ石窟群は、インドのムンバイの北東350㎞のところにあるアウランガーバード郊外にある世界遺産です。3つの宗教建築が同じ場所に集合している、世界でも類を見ない遺跡です。
インドには他にも石窟群があり、アジャンター石窟群、エレファンタ石窟群、エローラ石窟群でインド三大石窟と呼ばれています。
エローラ石窟群とは?
エローラ石窟群は、5~10世紀にかけて造られた仏教(12窟)・ヒンドゥー教(17窟)・ジャイナ教(5窟)の石窟寺院群です。石窟は、東から西へ向かって新しい年代のものになっています。
エローラ仏教石窟
仏教石窟は、5~7世紀頃に作られました。2種類の構造があり、ヴィハーラ窟とチャイティヤ窟があります。静寂に包まれた石窟の内部は、仏教で最も重要な涅槃の境地を表しているそうです。
ヴィハーラ窟
エローラの仏教石窟のほとんどを占める石窟です。ヴィハーラとは「僧房、僧院」の意味で、僧たちはここで生活し瞑想しました。そのため瞑想室や庫裏が残されています。
チャイティヤ窟
チャイティヤ窟には仏塔もしくは堂塔があり、仏陀が祀られていて、仏殿や本堂のような役割を果たしていました。初~中期のチャイティヤ窟には、最奥の仏間の中央に仏像が祀られていましたが、後期のものにはホールがあり、最奥にストゥーパを背にした仏像が祀られています。
最も有名なものが、第10窟のヴィシュヴァカルマ窟で、「大工の石窟」とも呼ばれています。最後期に作られており、天井の高いホールや、ストゥーパを背にした仏陀像の見事さが知られています。
エローラヒンドゥー教石窟
ヒンドゥー教石窟は7世紀から作られました。ヒンドゥー教石窟だけでなく、エローラ石窟群を代表する石窟が、カイラーサナータ寺院です。
カイラーサナータ寺院
8世紀に在位したラーシュトラクータ朝のクリシュナ1世の命により、王朝の権威を示すために造られたカイラーサナータ寺院は、ヒンドゥー教の神シヴァが住むカイラス山をイメージしているといいます。
最大の特徴は、巨大な一枚岩からすべてを彫り出したということです。この石窟寺院の大きさは高さ32m、幅は45m、奥行きが85mもあり、100年かけて200万tの岩を彫り込んだということです。
2階以上に彫刻が集中しており、壁にはヒンドゥー教神話の「ラーマーヤナ」や「マハーバーラタ」のレリーフが彫られています。膨大な数の精緻な彫刻には圧倒されます。
エローラジャイナ教石窟
ジャイナ教石窟は、9~10世紀にかけて造られました。彫刻が優美で芸術的であると評されています。
第32窟のチョーター・カイラーサナータ(小カイラーサナータという意味)の内部はジャイナ教神殿になっており、天井には蓮の花の彫刻を見ることができます。
ジャイナ教石窟の構成は、中庭の神殿を石窟寺院が囲むようにしており、これは、現在のジャイナ教寺院の特徴と一致するため、ここが原形となっているともいわれています。
とにかく、この細かく美しい彫刻の数々をよく見ることをおすすめします。特にヒンドゥー教石窟のものは、ちょっと陽気な感じがして楽しいですよ。アジャンター石窟群とも近いので、合わせて行ってみるといろいろ比べることができて面白いと思います。
エローラ石窟群はインドにある世界遺産で、世界的に有名で、最も美しい石窟群です。エローラ石窟寺院群とも呼ばれます。
エローラ石窟群は、カイラーサナータ寺院をはじめとする34の石窟からなり、カイラーサナータ寺院は世界最高の石造建築の一つと言われています。また、エローラ石窟群には仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教という、インドで生まれた3つの宗教の寺院が共存し、一列に並んでいます。
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