| 名称 | ドロミーティ |
|---|---|
| 国 |
イタリア |
| 登録区分 | 世界自然遺産 |
| 登録年 |
北イタリアのアルプス山脈に位置する「ドロミーティ(ドロミテ)」は、険しく切り立った岩峰と美しい谷間が織りなす大自然の造形美で知られる山岳地帯です。2009年に世界自然遺産として登録されました。世界遺産に登録されている地域は約1,419km²で、東京23区(約628km²)の2倍以上にあたります。
ドロミーティという名前はフランスの地質学者デオダ・ドゥ・ドロミューの名前から来ています。
ドロミーティ


ドロミーティの特徴は、何といっても垂直に伸びる岩壁や針のようにとがった峰々、そして足元に広がる青々とした森林や牧草地とのコントラストです。標高3,000メートルを超える山々が18峰もそびえ立っており、これは日本の富士山(3,776メートル)に迫る高さの山がひとつの地域にいくつも集まっているようなダイナミックなスケール感です。
また、一見するとただの岩山に見える景観ですが、実は古生代から中生代(約2億5,000万年前)の太古の海に存在したサンゴ礁などが化石となって固まった「サンゴ礁の化石の山」でもあります。太古の地球の歴史や生命の進化を今に伝える学術的価値も高く評価されています。
ドロミーティを構成する主なエリアや特徴


ドロミーティを構成する主なエリアや景観の要素には、以下のような特徴があります。
- 9つの構成エリア
全体で1,419km²という広大な土地にまたがる9つの地域から構成されています。 - 多様な地形
高さ1,500メートルを超える世界最大級の垂直な石灰岩の岩壁や、尖塔(せんとう)のような鋭い岩峰、地すべりやカルスト地形など、多彩な地層を見ることができます。 - 岩肌の色と光の演出
「ドロマイト(白雲石)」と呼ばれる特殊な成分を含むため、朝焼けや夕焼けのときには岩肌がピンク色や赤色に染まる幻想的な光景(アンサロンゴ現象)が見られます。


ドロミティは古くから登山家やアドベンチャーを愛する人々を魅了してきた聖地であり、近代的なアルピニズム(山岳運動)の発祥地のひとつとしても世界的に有名です。
冬は広大なスキーリゾートとして賑わい、夏はトレッキングやハイキングを楽しむ観光客で世界中から人が集まります。特に「トレ・チーメ・ディ・ラヴァレード」と呼ばれる3つの巨大な岩峰の周りを巡るハイキングコースは、絵はがきのような景観を楽しめる人気のスポットです。また、過酷な絶壁を登る「ヴィア・フェラータ(鉄の道)」と呼ばれる鉄製のワイヤーや梯子が設置された登山ルートも整備されています。
ドロミーティは自然だけで完結した世界遺産ではありません。古代の海から生まれた石灰岩の山々が地質学的な価値を持つ一方、近代には登山家や芸術家、科学者を惹きつけ、さらに第一次世界大戦の戦場にもなりました。隣接するアルプスの世界遺産であるスイスアルプス・ユングフラウ・アレッチなどが氷河と高山環境を中心に評価されているのに対し、ドロミーティでは特に、石灰岩がつくり出した独特の山岳景観と、その地質が記録する地球史が大きな特徴となっています。
