| 名称 | コルドゥアン灯台 |
|---|---|
| 国 |
フランス |
| 登録区分 | 世界文化遺産 |
| 登録年 |
コルドゥアン灯台
2021年に開催延期された第44回世界遺産委員会拡大会合において、フランスの「コルドゥアン灯台」が世界文化遺産として登録されました。
「コルドゥアン灯台」は、フランス南西部のヌーヴェル=アキテーヌ地域圏、ジロンド川河口の沖合にある岩礁の上に建つ灯台です。大西洋とジロンド川が出会う海域は航行が難しく、16世紀以来、ボルドーと世界各地を結ぶ船舶の航行を支えてきました。白い切石で造られた塔は、16世紀末から17世紀初頭にかけて建設され、18世紀に大規模な改修と増築が行われています。現在も灯台として使用されていることも大きな特徴です。
建設は1584年、フランス王アンリ3世の命を受けた技師ルイ・ド・フォワによって始められました。当時の灯台としては珍しく、単なる航行施設ではなく、王権を象徴する記念碑として計画されたため、内部には王の居室や礼拝堂まで設けられました。現在の塔は8層、海面から67メートルの高さがあります。これはおおよそ20階建てのビルに相当する規模です。
コルドゥアン灯台は、「現役で稼働している世界最古級の洋上灯台」の一つとして世界的に知られています。満潮時には完全に海に囲まれる過酷な岩礁の上に、芸術作品のような彫刻や装飾を施した巨大な石造建築を建てるという構想自体が、当時の建築技術において革新的なものでした。19世紀には、物理学者のオーギュスタン・フレネルが開発した「フレネルレンズ」の最初期の実用テストがこのコルドゥアン灯台で行われるなど、光の到達距離を劇的に伸ばすレンズ技術革新の舞台にもなりました。

現在でも観光地として親しまれていますが、干潮時の限られた時間帯に船でしかアクセスできないため、限られた訪問者のみが体験できる特別なスポットとなっています。
こうした「洋上の標識」としての歴史的役割や建築技術は、近隣の港町や世界遺産とも深く結びついています。ジロンド川を上った先にある歴史的港町「月の港ボルドー」は、かつてワイン貿易をはじめとする海上交易で大いに繁栄しました。コルドゥアン灯台は、ボルドーへと行き交う船を安全に導く命綱として機能し、経済的繁栄を陰で支え続けた存在です。
また、同じジロンド川河口付近の防御陣地として軍事建築家ヴォーバンが築いた「ヴォーバンの防衛施設群」の一部であるブライやメドックの要塞群とも地理的・歴史的に強い関わりを持ち、交易の安全性と防衛という2つの側面からフランス大西洋岸の歴史を形作ってきました。
灯台の歴史をたどるうえでは、スペイン北西部の「ヘラクレスの塔」とも比較できます。こちらはローマ時代の1世紀末に建設された灯台を起源とし、現在も航路標識として使われている世界遺産です。「古代ローマの灯台の伝統を現在まで伝えるヘラクレスの塔」に対し、コルドゥアン灯台は近世以降の灯台建築と航海技術の発展を示す存在と見ると、両者の違いが分かりやすくなります。





