ヴュルツブルク司教館(レジデンツ)



 

ドイツのヴュルツブルク司教館(レジデンツ)は、ロマンティック街道の北の起点となる教会の多い古都にある宮殿。18世紀に権勢を誇っていたヨハン・フィリップ・フランツ司教が築いた豪華な建築物です。天才建築家バルタザール・ノイマンの設計で、領主司教の優雅な暮らしぶりを伺えます。

ヨーロッパでも傑出したバロック様式の宮殿であることが評価され庭園と共に1981年に世界遺産として登録されました。

司教の華やかな生活ぶりを伝える宮殿

 宮殿|ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場

18世紀に入り安定期を迎えたドイツでは、司教も山の堅固な要塞を必要とせず、町中に宮殿を立てるようになりました。この宮殿はバロックの代表的な建築物で、1720~1744年に建てられました。その後内装や天井画は著名な画家、装飾家、建築家が手掛け1780年に全てが完成するまでには60年の歳月を要しています。

長さ約167m、高さ21mの中央棟に長さ約92mの両翼塔を備え、コの字型の宮殿となっています。内部には5つの大広間と300を超える絢爛豪華な部屋があり、中でも階段の間の天井画は必見。

ヴュルツブルク司教館の内部

玄関ホール

かつてここには6頭立ての馬車が入ってきていました。階段の間の前から直接馬車に乗っていたようです。床には馬が滑らない石が使われ、天井も高く開放感が感じられます。

庭園の間

玄関ホールの突き当たりには庭園に面するホールがあり、部屋には自然光が差し込む明るい空間です。部屋の中には12本の柱が回廊のように建ち、その上部から天井にかけて繊細な漆喰装飾が施されています。天井には神々の饗宴と女神ダイアナの休息を描いた天井画も見物です。

階段の間

宮殿で一番の見どころのバルタザール・ノイマンが手掛けたことで知られる階段の間。手摺りには彫刻が施されそれを見ながら階段を昇ると、天井には世界最大といわれるフレスコ画が見えます。

強靭な階段の間

天井は18m×33mと巨大な長方形ですが、支えとなる柱が一本もないことも有名です。建築当時この天井は強度に関して「設計ミス」や「絶対に崩れる」などと酷評されました。しかし、耐久性に自信を持つノイマンは天井の下で大砲を打つデモンストレーションを行いました。後の第二次世界大戦の時、イギリス軍による爆撃で司教館は破壊されますが、階段室は崩れずに残り強さが証明されています。

世界最大のフレスコ画

フレスコ画は特に有名で、ヴェネツィアの巨匠ジョヴァンニ・バティスタ・ティエポロが描いた一枚画です。「太陽神アポロンの保護下にある芸術の庇護者たる領主司教への礼讃」という天井画は、1753年に完成しています。

壁から立ち上がりの部分には当時知られていた四大陸(上部がアフリカ、右部がヨーロッパ、下部がアジア、左部がアメリカ)が寓話化され、アメリカの部分にはインデアンの姿も見られます。天空部分の頂点部にはアポロが描かれています。

フランケン地方の文芸の庇護者として、カール・フィリップ・フォン・グライフェンクラウや芸術家などが天界へ導かれる様子が描かれ、建築にかかわった金箔技師や漆喰細工師などの姿も見られます。また、ノイマンは大砲の上で休む姿、ティエポロの表情は大仕事を終えた安堵感が感じられるといわれています。

白の間

階段を上がって正面の最初の部屋が白の間です。繊細な漆喰装飾はアントニオ・ボッシによるもの。真っ白でシンプルな印象を受けますが、漆喰装飾が白いレースのように天井から壁にかけて施され優雅なロココ様式となっています。周りの部屋の艶やかな色使いを計算しあえて白に統一し視覚効果を演出したようです。

ここから続く皇帝の間への控室として使われていました。また、18世紀半ばには、イタリア・オペラやバレーも上演されています。

皇帝の間

階段ホールと共に爆撃に耐えられた部屋が皇帝の間。館内でも豪華な部屋の一つで、設計はノイマン、天井にはティエポロによるフレスコ画があります。このフレスコ画はヴュルツブルク中世の歴史が題材です。太陽神アポロの馬車に乗って天空を駆けるベアトリスクも描かれ、ティエポロの代表作の一つといわれています。南側には1156年にヴュルツブルク大聖堂で行われたフリードリヒ赤髭王とブルグンドのベアトリクスの結婚式の壁画も魅力的です。

鏡の間

ロココ様式の煌びやかで繊細な装飾が素敵な鏡の間。ここも絢爛豪華さを感じる部屋で、約600枚のヴェネツィア製の鏡で囲まれ、細やかな金細工の装飾が見事。白を基調とした天井部にまで、鏡や金細工で飾られています。

ココの鏡には裏側から絵を描くという特殊な技術が使われています。この部屋がある南棟は第二次世界大戦で激しい爆撃に合い全焼しています。古文書室に残っていた鏡を見本に復元されました。こちらも白の間同様イタリア人のボッシによるもので、共に「皇帝の間」の控室でした。

これ以外にも床のモザイク模様と壁全面が緑で配色が印象的な「緑の間」や、これまでの僧正たちの肖像画が描かれる「肖像画の部屋」なども魅力的です。

まとめ

宮殿の設計者であるバルタザール・ノイマンは、旧50ドルマルク札に描かれています。この宮殿は彼の代表作で、天才建築家としての名声を高めました。

実は宮殿の設計を依頼されたとき、彼はまだ駆け出しの新人建築家でした。あふれる才能と新人らしからぬ裁量で、ヨーロッパ中の実力派の芸術家たちの力を発揮させた奇才ノイマンを抜きにはこの宮殿を語ることはできません。

ナポレオンは「ヨーロッパで最も美しい館」と讃え、ハプスブルク家の女帝 マリア・テレジアは「これこそ宮殿の中の宮殿だ」とこの宮殿を称賛しています。

ロマンティック街道には小さい町が多いというイメージがありますが、ヴェルツブルクは大きな町でフランケンワインも有名です。

ドイツの世界遺産 ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場

 

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