ディオクレティアヌス宮殿の地下
ディオクレティアヌス宮殿があるスプリトの歴史的建造物群

クロアチアのスプリットにあるディオクレティアヌス宮殿の南半分はディオクレティアヌスの私邸として使われていました。その地下には巨大な地下の空間が広がっています。

もともとは1階ですが1年間に1mmの地盤沈下が起こっており、今では完全な地下空間になっています。南門の近くに出入り口があり、かつては住居の玄関となっていたようです。

 

現在地下宮殿は博物館(有料)となっており、入口付近にはミュージアムショップ(入場無料)もあります。

地下宮殿の建物の仕組み

この地下の建築上の主な役割は2つありました。1つは地上階を支えること、もう一つは海に向かって傾斜している南側を平らにすることでした。

地上階と地下階は同じ造りになっており、正に地下を見ると宮殿の様子がまる分かりといった感じです。

皇帝は海がある南側に住み、北側には兵士や使用人が住んでいたと考えられています。できるだけ海に近い位置に宮殿を建てたいと考えたため、なだらかに海に向かって下る南の部分は数層に分けて高くし、北の建物との高さを合わせていたようです。

魅惑の地下宮殿

地上部は皇帝の死後に住みついた人々の手によって、破壊、増築、改装などがされてしまいましたが、地下では宮殿本来の姿を見ることができます。

中世に建てられた宮殿地下に入ると、水道管や机、皇帝の胸像や、オリーブの圧搾機などが残され、宮殿の様子を偲ぶことができます。

ここが地下に埋もれた原因は地盤沈下とお伝えしましたが、もう一つの原因として言われているのが人の手によるものです。

中世には倉庫やワインを作る施設として利用されていましたが、地上部分に住む人が増えるにつれゴミの捨て場に困った人々が、ゴミ集積場として使うようになりました。天井を見ると所々に穴が開いています。その穴から人々はゴミを捨てたりトイレにしたりしていました。ゴミを地下に詰め込んだため宮殿遺跡が崩れることなく現在の姿をとどめていますが、地下宮殿は長い間、闇に葬られていました。

この地下宮殿が再び蘇ったのは1956年のことです。中のゴミも撤去され今ではきれいに整備されています。まだ未発掘の場所などで、土らしき塊が天井まで積もっている様子が所々で見られます。今では土にしか見えませんが、実はゴミの劣化したものです。

地下宮殿の見どころ

中世のままの姿を残す地下宮殿には、かつての雰囲気を感じられるところがたくさんあります。

地下宮殿の柱

柱は太くしっかりとした石造りとなっています。今でも宮殿の上部を支えています。また、ローマ時代の木の柱も保存されています。

ゴミの山の跡

1700年の時を重ねるうちにゴミが劣化し土となっています。部分的にこの土がそのまま残っているところがあります。今でも住居が建っているためごみを取り除くと宮殿が崩れる恐れがあるのでそのまま残されています。

ローマ時代の水道管

入口では水道の経路図を見ながら当時の土木建築技術の素晴らしさを学ぶことができます。ディナル・アルプス山中の宿路水源から水が運ばれていました。中世の頃から水洗トイレがあり、奥の部屋には当時の水道管が現在も残されています。

ディオクレティアヌスの胸像とスフィンクスの像

奥には多くの部屋があり、皇帝の胸像が飾られています。凛々しい顔をしたディオクレティアヌスの胸像はかつて敏腕だった皇帝の様子が映し出され見る価値ありです。

皇帝がエジプトから12頭のスフィンクスの像を持ち帰りました。そのうち11頭は迫害の復讐によりキリスト教徒に頭を壊されています。ここにもその11頭の内の1頭が展示されています。

展示数はあまり多くありませんが、他にもワインを作っていた施設や宮殿食堂の大理石の大皿、当時の繁栄を描く中世の絵画など、当時を偲ばせる展示がされています。他の宮殿にはないミステリアスな部分に触れることができるのでぜひ訪れてみてください。

まとめ

今から約1700年前に皇帝が静かに余生を送るために造られた宮殿は、ゴミのおかげで保存状態がよくローマ時代の様子を色濃く残しています。照明が落としてあり、幻想的で雰囲気も素敵です。発掘後整備され、今では宮殿の様子がよく理解できるようになっているので、中世ローマ時代の建築に興味がある方はぜひ訪れてみてください。

また、ここは欧米で人気のドラマ「Game of Thrones」が撮影されたことでも知られています。

ギャラリー

「ディオクレティアヌス宮殿の地下」のデータ

   
国名 クロアチア
世界遺産名ディオクレティアヌス宮殿があるスプリトの歴史的建造物群
名称ディオクレティアヌス宮殿の地下

 

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