識名園
(琉球王国のグスク及び関連遺産群)
識名園は沖縄県那覇市にあり、「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして世界遺産に登録されました。
識名園とは?
識名園は、1799年に完成した琉球王家の別荘で、南苑とも呼ばれます。王族の保養地や、中国からの使者(冊封使)を迎える場として利用されました。第2次世界大戦中に建物が破壊されてしまいましたが、1975年から1995年にかけての修復工事によって復元されました。
識名園の構造
識名園は総面積が41,997㎡あり、中央に池を配置した池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)庭園です。これは日本庭園の様式ですが、随所に中国風の意匠が見受けられ、琉球独特の庭園となっています。
育徳泉(いくとくせん)
正門である屋門(やーじょう)を入り、石畳の道を歩いていくと、育徳泉があります。これは識名園の池の水源のひとつとなっており、非常に優れた水質だと言われています。周囲の石積みは「あいかた積み」といい、沖縄独自のやり方です。
また、道がS字のようになっていますが、これは先が見えないようにすることで、何があるのか期待を高めたのだそうです。
ちなみに、現在は屋門からの出入りはできません。
御殿(うどぅん)
池のほとりに建てられた御殿には15の部屋があります。雨や湿気に強い槙(まき)の木で作られていますが、当時の槙の木はとても高価な木材だったそうです。
石橋、六角堂
識名園の池は「心」の字を模した形をしていて、「心字池」と呼ばれます。池には琉球石灰岩でできた大小のアーチ橋がかかっており、池の小島には六角堂が建てられています。石橋と六角堂は共に中国風の建築で、冊封使への気遣いが見られます。
観耕台
観耕台は展望台ですが、一般的な琉球の展望台でありながら海が見えません。眼下に広がる土地を見せることで、琉球の広さを見せつけたともいわれています。
識名園には沖縄ならではの花や樹木が多く植えられていて、目を楽しませてくれます。S字形の道を抜けていくときのワクワク感は、きっと当時の人たちも同じだったのではないでしょうか。
「識名園」のデータ
国名 | 日本 |
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世界遺産名 | 琉球王国のグスク及び関連遺産群 |
名称 | 識名園 |